- ビットコインの非流動性が高まっている。
- より多くの人がビットコインを購入するにつれて、ネットワークは停滞し、取り引きにかかる時間は長くなっている。
- 取引手数料も高くなっている。
- 仮にビットコインの価格が暴落し、全員が同時にビットコインを現金化しようとした場合、深刻な問題が起こるだろう。
下のチャートは、2016年5月以降、ビットコインの取り引きの確認に要した時間の7日間の平均を示したものだ。
ビットコインの価格と同様に、取り引きにかかる時間も月を追うごとに長くなっている。今では、ビットコインの取り引きの確認には平均4時間半かかっている。
高騰するビットコイン価格がバブルなのではないかと懸念しているビットコイン保有者は、ビットコインの取り引きにかかる時間をそろそろ問題視すべきかも知れない。
ビットコインの価格は日々、数百ドル、数千ドル単位で変動している。1時間後にいくらになっているかは誰にも分からない。だが、全く違う価格になっていることは確かだ。
世界最大規模のICOとなる5億ドル(約560億円)のドラゴン・コープによるカジノ建設のためのICOは、2週間後に延期された。
「ビットコインとイーサリアムに大幅な遅延が発生しているため、ドラゴン・コープのプレICOに参加するICO投資家、あるいはコントリビューターがビットコインやイーサリアムを送金できない状態となっている」と同社はプレスリリースで述べた。
取引時間はシステムに組み込まれており、各取り引きはビットコインの採掘者6人による確認が必須となる。マイナーの数には限りがあり、取り引きが増えれば、ネットワーク帯域はいっぱいになり、時間もかかる。
しかも悪いことに、取り引きには手数料が必要で、金額によって取り引きの優先度が決まる。つまり、額の大きな取り引きが優先される。
ネガティブなニュースがインターネットを駆け巡り、ビットコイン保有者の大部分が「ビットコインを十分持っている。利益も出ている。もう終わりにしよう」と決断する日がどれほど悪い状況になるかを想像して欲しい。ビットコインの大部分は市場の一握りの人たち、つまりビットコインの40%はわずか1000人が保有している。これらの保有者の数人が望めば、市場をクラッシュできる。
2000年と2008年に起きた市場のクラッシュを覚えている人なら、こうしたことがあっという間に起こることを理解しているだろう。数分で市場から数十億円が消える。ニュースが流れてから1時間程度の遅れで、資産が水の泡になる。
残酷な話だ。
そして、ビットコインを支えるブロックチェーン技術は、そうした状況に対応できない。
取引時間の増大は、ビットコインの価格が上がり続けているというニュースを見て、新たに、あまり金融リテラシーが高くない投資家たちが参入していることが原因であることに疑いの余地はない。
その状況を踏まえると、ビットコインの価格が下落した際に、ネットワークがどれほど混雑し、遅延するかは想像できる。
手数料も高額になるだろう。一部の調査では、手数料は3カ月ごとに2倍になっている。Ars Technicaは、1回あたりの手数料は26ドル(約2900円)に達したと伝えた。
暴落して売却しようとする人々には、損失に、さらに手数料が上乗せされることになるわけだ。一方、株式や銀行との取り引きは1秒以下で成立し、手数料も通常10ドル以下だ。
ビットコイン市場から抜けることが、どれほどバカバカしいほどに難しいかは、@TedOnPrivacyという名前で投稿しているGoogleのエンジニアのツイートを見るとよく分かる。
「MtGoxと同じくらいの信頼性かも知れないサイトに、運転免許とパスポートの画像を送信しなければならなかった。取り引きが確認されるまでに、のんびりとランチを食べることができた。しかも、上等な(時間のかかる)ローストされたアボカドと卵のランチだ」
確認が終わり、現金化するまでに結局、数日かかった。
「使ったり、他のものに替えることができないのであれば、お金とは呼べないのではないか」と彼は失望を隠さなかった。
手持ちのビットコインをいくらか売ろうとした。手続きはとてもひどいものだった。笑うしかないくらい。
[原文:Bitcoin's illiquidity is going to be a huge problem when the bubble bursts]
(翻訳:まいるす・ゑびす/編集:増田隆幸)