Reuters
- グーグルの2人の創業者セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジは20年ほど前、エリック・シュミットと一緒にバーニングマンに行った。CEOとしての資質を確かめるためだ。
- シュミットは羽目を外せることも証明して見せ、CEOに就任した。
- アルファベットは12月21日(現地時間)、シュミットがグーグルの親会社アルファベットの会長を退任すると発表した。
テック業界の大御所たちがバーニングマンを好んでいることは周知の事実。このカウンターカルチャーイベントは、未来は自分の手で創り出すものという共通認識のもと、億万長者とヒッピーを引きつけている。
「Stealing Fire」の著者であり、パフォーマンスエキスパートのスティーヴン・コトラー(Steven Kotler)は、グーグルの共同創業者セルゲイ・ブリン(Sergey Brin)とラリー・ペイジ(Larry Page)が、どうやってバーニングマンでグーグルのCEOとなる人物を見つけたのかを記している。
初期からバーニングマンに参加していたペイジとブリン
「極めて初期の頃から、ペイジとブリンはバーニングマンの熱狂的な参加者だった。グーグル本社の吹き抜けには長い間、バーニングマンに参加した2人の写真が飾られていた」とコトラーはBusiness Insiderに語った。
2人を夢中にさせたものは、バーニングマンのコアとなるコミュニティー意識だった。
「バーニングマンで起きることは、オックスフォード大学の最近の研究でも明らかなことだが、参加者の意識をある特別な方向に向け、人々を“グループフロー”の状態に導くことだ」とコトラー。
「フローとはパフォーマンスがピークに達している状態のこと。個人のパフォーマンスが最も発揮されている状態だ。グループフローはシンプルに言うと、チームが最高のパフォーマンスを発揮している状態のこと。誰もが似たような経験をしたことがあるはずだ。例えば、すごいブレインストーミングに参加し、アイデアが次々と生まれ、本当に素晴らしい結論が導き出された時や、アメリカンフットボールの最終クオーターでの逆転劇などだ。これらがグループフローの実例だ」
セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジ。グーグル本社の外にて。カリフォルニア州マウンテン・ビュー、2000年。
AP
コトラーによると、グーグルは従業員たちに最高の仕事をしてもらうために、グループフローを作り出すという方法を取っている。
1999年、ペイジとブリンは、シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタル、クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズ(Kleiner Perkins Caufield & Byers)から1250万ドル(約14億円)の出資を受けた。その際、2人はペイジの代わりにCEOを社外から雇用することを求められた。若い創業者に「監視役の大人」を付けるというよくあるやり方だ。
2人は次のCEOに、同社のグループフローに加わってもらえることを望んでいた。だが、どうやって見極めれば良いのか全く分からなかった。そんな時に、2人はソフトウェア会社、ノベル(Novell)のCEOを務めていたシュミットと会った。
シュミットは他の候補者とは違った
「ペイジとブリンはシリコンバレーで活躍するCEO、50人あまりと会ったが、満足のいく結果は得られなかった。そんな時、2人はエリック・シュミットがバーニングマンに参加したことがあるという情報を手に入れた。そこで2人はシュミットを候補者リストのトップに移し、一緒にバーニングマンに参加してシュミットがどのような行動を取るのかを見ることにした。2人が見極めたかったのは、シュミットが自分のエゴを捨ててチームと一体となれるのか、それとも自分のやり方を捨てないのかということだった」とコトラー。
「シュミットはこのテストにパスした。そしてこれは、現代における極めて重要なCEOの採用となった」
シュミットは2001年にグーグルのCEOとなった。この採用についてペイジは「素晴らしいことだった」と後に語っている。そして2011年、シュミットはCEOの会長に就任した。
2018年、シュミットは現職グーグルの親会社アルファベットの会長を退き、同社の技術顧問という新しい役職に就任する予定。アルファベットはシュミットの後任として、執行権のない会長をおく見込みだ。
(敬称略)
[原文:Here's why Google went to Burning Man to find its next CEO]
(翻訳:まいるす・ゑびす/編集:増田隆幸)