12月21日、エリック・シュミットはグーグルの親会社、アルファベットの会長を退任すると発表した。
REUTERS/Rebecca Naden
2018年1月、2001年以来初めて、エリック・シュミットはグーグルおよびその関連会社のトップの座から離れることになる。
12月21日の午後(現地時間)、シュミットはグーグルの親会社アルファベットの会長を退任すると発表した。アルファベットから完全に離れるわけではない。取締役には留まり、技術顧問に就任する。だが、会社をリードする役割からは退く。
シュミットは、グーグルの創業者ではない。だが、早い時期に同社に加わり、同社をグローバル企業へと成長させていく過程で重要な役割を果たしてきた。同社のサイト、Google.comは世界で最も訪問数が多いウェブサイトであり、またグーグルは世界で最もユーザー数が多いスマートフォンOS、アンドロイドを生み出した。そして極めて利益率の高い広告事業のおかげで、アルファベットの時価総額は7000億ドルを超えている。
だが、グーグルのスタートはとても質素なものだった。
スタンフォード大学の学生寮から始まって、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが会社の売却を試みたことやアルファベットの設立、そしてシュミットの退任発表まで、グーグルの歴史を写真で振り返ってみよう。
グーグルの歴史は1996年から始まった。最初はグーグルという名前ではなかった。
Bloomberg Game Changers
グーグルは、当時、スタンフォード大学の博士課程の学生だったセルゲイ・ブリン(左)とラリー・ペイジ(右)のアイデアから生まれた。2人は他のウェブページからリンクされている数に基づいてウェブサイトを評価するページランクと言う手法を用いて、革命的な検索エンジン「BackRub」を作った。
すぐに名前をBackRubからGoogleに変えた。
1台目のサーバーのケースはレゴ製だった。
Wikimedia Commons
サーバーはスタンフォード大学のキャンパスに設置された。最初のURLはgoogle.stanford.eduだった。2人は1997年9月15日にGoogle.comをドメイン登録した。
すぐにグーグルはスタンフォードの回線容量を使い切るようになった。そして大学のIT部門に追い出された。
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ペイジとブリンは、生まれたばかりの会社をスーザン・ウォシッキー(Susan Wojcicki)の家のガレージに移した。ウォシッキーはのちにグーグルに入社し、YouTubeのCEOを務めることになる。
同じ頃、ブリンとペイジは10万ドルのシード投資を獲得した。
Wikimedia Commons
投資はサン・マイクロシステムの創業者アンディ・ベクトルシャイム(Andy Bechtolsheim)によるものだった。それを使ってグーグルは1998年9月4日、ガレージにある本社を正式に会社登記した。
最初のデザインは、いまひとつ。
1999年、エキサイトによる買収寸前まで話が進んだ。エキサイトは当時、検索エンジンのトップだった。
OneWire
1999年3月、ようやくオフィスらしいオフィスへ移転。
その直後、VCから2500万ドル(約28億円)を調達。
2000年後半、アドワーズを開始。後に莫大な利益を生み出すことになる。
AdWordsサービス用のグーグル広告
アドワーズによって広告主である企業は、ユーザーが検索した語句に関連した広告を表示させることができるようになった。この頃、グーグルはかなり知名度を上げていた。アドワーズはグーグルに安定した収入をもたらした。インターネットバブルで多くのスタートアップ企業が倒産したが、グーグルは成長を続けることができた。
グーグルは輝き続け、ブリンとペイジはまるでロックスターのようになった。
RANDI LYNN BEACH / AP Images
多くのテック企業が倒産する中、グーグルは大成功を収めていた。
「Don't Be Evil(邪悪になるな)」という有名なスローガンはこの頃、生まれた。
Tangi Bertin/Flickr
現在は「Do the Right Thing」に変更された。
ブリンとペイジは2001年、エリック・シュミットをグーグルのCEOとして招き入れた。
ブリン、シュミット、ペイジ。
Mario Anzuoni/Reuters
ブリンとペイジは、セコイア・キャピタルの要請に応えてシュミットをCEOとして迎え入れた。ペイジはCEOの座を降りた。シュミットがCEOとなったおかげで、2人はグーグルのテクノロジー面に注力することができた。
この頃には、スタッフがオフィスに収まりきらないほど増えていた。
オフィスはシリコンバレーの成功の象徴、そして新しいオフィスのあり方の見本になった。
Reddit / SpaceCaseSixtyTen
無料のランチもグーグルから始まった。
Flickr/Dmitry Alekseenko
有名な恐竜の像。しばしばフラミンゴに覆われる。
OpenBuildings
2004年4月1日、Gmailを発表。
Biz Stone
まずはベータ版としてサービスが始まった。エイプリルフールに発表されたため、最初は多くの人がジョークだと思った。
2004年8月19日、上場。公募価格は1株85ドル。
Getty Images
現在、グーグルの親会社アルファベットの株価は1000ドル以上。
IPO後、検索エンジン以外にも事業を拡げた。
Flickr / Sancho McCann
GoogleDocsやGoogleマップといった新製品をローンチさせるために、スタートアップの買収を始めた。
2005年、アンドロイドを買収。デジカメ用OSを作っていた小さなスタートアップだった。
AP
2006年、YouTubeを16億5000万ドルで買収。
YouTube
同じ年、自社所有&自社設計のデータセンターを開設。
オレゴン州にあるデータセンターには、革新的な設計を行い、圧倒的な高効率を実現するための技術開発をスタート。
この頃、グーグルはかなり有名になり、「ググる」という言葉は「インターネットを検索する」という意味になった。
Merriam-Webster Dictionary
2006年6月には、有名な辞書に「google」が収録された。
2008年、最初のアンドロイドスマートフォンが登場。
Wikimedia
HTC Dreamが先陣を切った。
同じ年、ウェブブラウザーのGoogle Chromeを発表。
2011年、シュミットはグーグルCEOを退任。
Flickr / loiclemur
シュミットは会長に就任、ペイジがCEOとなった。
ペイジの指揮の下、グーグルは突拍子もないアイデアを追求した。
その中でも特筆すべきは、2010年、自動運転車の研究を行っていると発表したこと。
2012年に発表したグーグルグラスも、実験的な取り組みの1つ。
Justin Sullivan/Getty Images
秘密の研究所があり、さまざまなプロジェクトが進められている。
このコンタクトレンズは、糖尿病患者の血糖値を測ることができる。
2016年、グーグルは組織変更を行い、アルファベットを設立。
AP Photo/Seth Wenig
持ち株会社としてアルファベットを設立、グーグルを100%子会社とした。ペイジがアルファベットのCEOに、シュミットが会長に就任した。
グーグルのCEOには、Google Chromeの責任者だったサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)が就任。
Justin Sullivan/Getty Images
ピチャイは、アルファベット傘下の中で最も重要、かつ最も多くの利益を生み出している会社の未来を担うこととなった。ピチャイのもと、グーグルはAIへと大きな一歩を踏み出した。
そして来年1月、シュミットはアルファベットの会長を退任する。
REUTERS/Rebecca Naden
シュミットはアルファベットの「技術顧問」となり、引き続き取締役として同社に留まる。
シュミットはグーグルが数百人から数万人規模に成長するプロセスを見てきた。グーグルの歴史、そのものだ。
(敬称略)
[原文:33 photos of Google's rise from a Stanford dorm room to world domination]
(翻訳:まいるす・ゑびす/編集:増田隆幸)