リアルに自分の部屋の写真にしようと思ったところ、冷静に見るとあまりの惨状だったため編集部にて撮影。さてこの30点の山、いくらに化ける?
私は部屋の掃除が大嫌い。でも、2017年の大掃除は少しやる気が出た。
それはクローゼットの不用品をお金に変えられるからだ。しかも自宅にいながら「ノールック」で。
救世主は、スマホで不用品を撮影・即現金化できる「メルカリNOW」と「CASH」だ。12月のクリスマスイブの週末、大掃除に取り掛かり、自宅から出た不用品30点で試してみた。果たして、メルカリNOW vs. CASH、それぞれおいくらに?
メルカリNOWとCASH、どちらもアプリから、(1)ブランド、(2)カテゴリ、(3)商品の状態(新品や汚れの生むなど)を選択し、商品を撮影、数秒で査定結果が表示され、集荷の予約と合わせて、すぐに現金化するかどうかを選ぶことができる。両アプリともブランド品が対象で、メルカリNOWはファッション、CASHはファッションとガジェットを査定対象にしている。
撮影の前に、ブランド、カテゴリ、状態を選ぶだけ。
あとは商品を撮影するだけ。査定結果が数秒で表示される。
ノールックで見積もると驚きの結果に……
今回の不用品の内訳は、婦人服16点、キッズ服2点、靴6点、バッグ4点、財布1点、時計1点の合計30点。1つ1つ、撮影を繰り返し、査定結果を確かめた。
結果は、メルカリNOWが6120円、CASHは1万3300円と、その差はなんと7180円もあった。
人からもらったものや小学生のころに買った物もあるので、もともとの総額は正確にはわからないが、ざっくり50万円くらいだと思う。
査定金額の上位は、メルカリNOWの1位が、プラダの財布で1440円、2位はマークジェイコブスのリュックで1270円、3位はファビオルスコーニのバックで580円。
CASHの1位は、同じくプラダの財布で3200円、2位がアガットの時計で3000円、3位はバーバリーのブラウスで1000円。
就活スーツは1円にもならない
この総額の差は、何が一番の違いになったのか? 答えは、CASHが取り扱うブランドの種類の多さだった。30点中、CASHで査定できた品数は、25点。一方、メルカリNOWで査定できたの品数は、11点のみ。
メルカリNOWとCASHの金額の差は、査定できた品数の差が大きい。
どちらでも査定対象にできたのは、プラダ、トリーバーチ、バーバリー・ブルーレーベル、ファビオルスコーニ、フルラ、マークジェイコブスなど、ハイブランドが中心。ほかには、ユナイテッドアローズやイエナ、ビームスライツなどもあった。
逆に、どちらでも査定対象外だったのは、ザラとマリエクラブなど。どちらにも査定のカテゴリーにはユニクロやH&Mなどもなく、ファストファッション系は除外されているようだ。
残念だったものは、リクルートスーツ。ジャケットとスカートはどこで買ったか、もはや10年近く前で覚えていないが、上下で数万円はしたはず。さすがにもう着ることはない、と査定しようと思い、タグをみると「ヒロタ」の表記。もう1つのスーツは、百貨店にもよく入っている「アンタイトル」。靴は「マリエクラブ」つまり、ブランドによっては、ポピュラーな中堅ブランドでも査定対象にならない場合があるということだ。
メルカリNOW、CASHどちらの査定からも漏れてしまった不用品。私の就活の衣装は1円にもならなかった。
一方、CASHのみが扱っていたブランドを見ていくと面白い傾向がある。ハイブランドとファストファッションの「中間層」の取り扱いが比較的手厚い。
自分がよく買うブランドがそのあたりの価格帯だったため、CASHとの相性がよかったのかもしれない。例えば、ストロベリーフィールズやダイアナ、ジル・スチュアートなどだ。頼まれもののキッズ服に関しては、憧れのフランスブランドのプチバトーがCASHのみで査定できた。
ただし、CASHだけで査定できた物は、査定結果は300円が中心だった。
CASHは、キッズ服の「プチバトー」など、幅広いブランドを対象にしているようだ。
ともあれ、塵も積もれば山となるのだ。CASHのみで査定できた14点のうち、11点が300円のもの。それだけでも3300円の差が、メルカリNOWとの間で発生した。
断捨離向きはメルカリNOW or CASH?
では、CASHの方が対象商品の幅が広く、断捨離の現金化にオススメなのか? それが単純にそうとも言い切れない。
CASH、メルカリNOWの両方で査定できた11点を見てみよう。
もっとも品数の多い金額は、メルカリNOWが350円なのに対し、CASHは300円。これは最低金額付近の例だが、他も含めて、どうやら買取り可能なブランドであれば、相場はメルカリNOWの方が高めのケースが多い。
一概に言えないのは次のような例が典型的だ。例えば1年前に約3万1000円で購入したマークジェイコブスのリュックサック。メルカリNOW(使用感あり)だと1440円、CASHだと300円(傷・汚れあり)。ほかには、8年近くまえに5万円程度で購入したプラダの長財布。メルカリNOW(使用感あり)だと1440円、CASH(傷・汚れあり)だと3200円。
仮に状態の条件を変えてみると……。
今回の財布の場合、メルカリには最低ランクでも「目立つ傷や汚れなし」しかないところが、売り手としては不安になるところ。CASHのように「目立つ傷や汚れあり」があると安心して手放せるのにな、と思った。
という感じで、程度による価格上昇の法則性はあまりなさそう。需要がありそうなものが高い、という当たり前の結果なのだろうか。
対象なのに査定ができなかったケースも
査定ができなかったケースもまとめておきたい。画像の問題なのか、たまたまなのか、柄物の場合、CASHでは「写真の内容が異なる可能性があります」と疑いをかけられるケースが何件かあった。照明の明るいところに移動すると、スムーズに査定ができることもあった。
メルカリでは、バーバリーのブラウスやスピックアンドスパンのトップスは、ブランドカテゴリーはあるものの、「査定ができません」「只今の時期こちらのアイテムの買取りができません」と表示された。両方のアイテムともに、CASHでは1000円と300円。思わぬ差が出てしまった。
メルカリによると、メルカリNOWの取り扱うブランドは1400。買い取ったブランドは、メルカリ内で流通するため、売れやすさによって査定価格が調整されているという。1日の総買取り金額の上限は1000万円だ。
出典:メルカリ
一方のCASHは具体的なブランド数を非公開としているが、同社によると数千のブランドを扱っているという。サービス開始の2カ月後のリリースでは、「キャッシュ化された2540のブランドのうちTOP20」として、ランキングを公開していた。価格は、市場やユーザーの要望に応じ、決めているという。1日の総買取り金額の上限は、以前は1000万円だったが、現在は非公開。
CASHが2017年6月のサービス開始から2カ月後に発表したリリース。
出典:CASH
出典:CASHのアプリ
ノールック査定は、CASHが2017年6月にスタート、メルカリNOWが続く形で、2017年11月にサービスを始めた。
CASHは、メルカリに対抗するように、メルカリNOWが発表された11月27日の当日、最低の買い取り金額を1000円にすることを発表。しかし、2週間経たないうちに、新規登録した人の初めての査定のみ、最低1000円の形に変更した。
2016年の大掃除で処分された上位3つの物の推定価格(メルカリの平均単価から算出)。
出典:メルカリ
リアル店舗ブックオフで査定して見るとどうなるか?
最後に、ノールックではなく、リアル店舗なら? 編集部に近い、渋谷センター街にあるブックオフグループの「BINGO」を訪れた。査定結果は、13点が査定対象になり、総額は6765円。
店舗により、取り扱うブランドに幅があり、この店舗では対象外になったハイブランドもあった。
一方、ザラやノーブランドでも査定対象になった。ザラは、今回状態が悪く、値段はつかなかったが、リクルートスーツはスカートが5円と30円、ジャケットが30円と150円、靴が150円になった。マークジェイコブスのリュックは1200円、ポーターのリュックは1000円。使用感を考慮した査定となった。
ノールック査定だと、自分で商品の状態を選択する際に迷いが発生するが、リアル査定だとそのわずらわしさがなく、安心感があった。何よりも、就活の衣装に365円とはいえ“価値”を見出してくれたのが個人的にはうれしかった。
ノールックのメルカリNOWとCASH、リアルなBINGOの査定結果を合わせて導いた“最適解”は、16145円(おそらく)。もっとも高い査定金額を足し合わせた。「査定疲れ」のため、正直、結果の見落としはないか、自信がない。ただ、カシャカシャと査定を続け、重たい荷物も運んでみることで、不用品の山は、場合によっては数万円にも化ける。みなさんが相性の良い査定に辿り着き、最適解が見つかることを願っています。
(文、撮影:木許はるみ)