DMM.comが全長約1キロのデスクとデジタルアートに溢れるオフィスに移転

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約1キロのデスクが“這う”ように配置されたDMM.comの新オフィス。

中西亮介

市場のグローバル化に伴い、企業の競争力を巡る議論は年々活発化している。競合は国内だけに存在するわけではない。海外の一流企業と互角に渡り合うには、世界で通用するサービスやプロダクトを生み出せる原動力を組織内で育て、発展させていかなくてはならない。そこで議論のポイントの1つとなるのがオフィスデザインだ。「イノベーションがダイナミックに生成される環境」「社員の創造性が刺激される環境」「コミュニケーションが活性化される環境」、つまり、企業のDNAを体現した環境をオフィスという形でデザインすることが、世界で戦う企業には求められていると言える。グーグルSlack、日本ではヤフー(Yahoo! JAPAN)などのオフィスはいずれもユニークだ。

2017年3月6日に新オフィスをオープンしたDMM.com グループもその1つ。今後、1カ月かけて約2500人の社員が新しいオフィスに引っ越してくる。インターネットの動画配信から通信販売、外国為替取引、オンライン英会話まで、事業領域の拡大を進め、年間売上2000億円を稼ぎ出す。

そんなDMM.comの新オフィスには、全長約1キロのデスクが“這う”ように配置されている。“デジタル・アニマル”が壁を動き回り、ミーティングルームへの案内役を務める ―― 。口で説明するのは難しいが、目にすればその斬新さはすぐにわかる。

片桐孝憲・社長にユニークなオフィスデザインの狙いを聞いた。

デジタルアートの滝と250種類の植物が出迎えるエントランス。天井に設置されたセンサーが人を感知すると滝の流れが変わる。

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中西亮介

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滝の向こうにミーティングスペースがある。

中西亮介

26のミーティングルームには動物の名前がついている。Anteater(アリクイ)から「Zebra」(シマウマ)まで。

カバ

会議室「Hippopotamus」のドアに光る案内係のカバ。

中西亮介

通路3

美術館を思わせるデジタルアートが映る通路

提供:チームラボ


「Lion」が案内するミーティングルームは茶室になっている。間口の狭い茶室独特の入り口である「躙り口(にじりぐち)」もある。

ライオン

中西亮介

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中西亮介

グニャグニャと曲がりくねるデスクがまるで蛇のようにオフィスを“這う”。

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中西亮介

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中西亮介

アートが社員のクリエイティビティを刺激する

2007年にイラストの投稿・交流サイトのpixivを設立した片桐孝憲氏。DMM.comの社長に就任したのは2017年1月だ。

オフィス移転の経緯を教えてください。

「2016年の夏にオフィスの移転が決まり、オフィス作りのプロジェクトが始まりました。僕がDMM.comの社長に就任する前なので、今回のオフィス作りには関わっていません。プロジェクトは、DMMの野本巧・チーフクリエイティブオフィサーが担当しました。僕が創業して去年まで社長をやっていたピクシブでも、オフィスはチームラボと一緒に作っていたので設計思想が似ている部分はあります。例えばグニャグニャにしていて、つながっている机とか」

全長約1キロのデスクを導入した狙いは?

「周りの人たちとの距離が近い方がコミュニケーションが取りやすいですよね。グニャグニャしていてつながっている机は、見てる方向が変わるので、近くに座っていても近すぎる感じが少ない。整然と机が並んでいるより、グニャグニャしている方がコミュニケーションが生まれやすい。つながっているのでトンネルになっている部分を通らないと中に入れないし、外にも出られない。とにかく、コミュニケーションが増えることを狙っています」

新しいオフィスで働く社員に求めることは?

「アートは社員のクリエイティブに対する関心や目線を上げるきっかけになるかもしれません。昔であればビジネスモデルが良ければ事業はうまくいったと思います。今のネット事業は早いとか使いやすいとかは当たり前で、『カッコいい』『かわいい』『センスが良い』といった言葉で説明できないような概念が必要になってきています。例えば、Snapchatのサービスとしての素晴らしさは『送ったメッセージが消える』という、言葉で説明できるようなことだけではないですよね。サービス全体にある思想も含めて、デザインしていかないといけません。そういうクリエイティブに対して感度を上げていくというのは、重要ですよね」

今、どんなビジネスに関心を持っていますか。

「チャンスがあれば何でもやっていきたいです。国内でやってきた事業の海外展開だけではなく、初めからグローバル向けのサービスを開発したいと考えています。たとえば、モバイルのエンタメアプリ。海外に比べて、日本にはエンタメアプリを作るスタートアップが少ないのが実情です。なので、DMM.comが率先して開発します。DMM.comの社員数はおよそ3000人。これからは単純に数を増やすのではなく、質の多様化を図っていきたいと考えています。外国籍のスタッフが占める割合は現在6%程度ですが、今後は積極的に外国人の採用を増やします」

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