首を長くして待ち続けること数年、ついに任天堂から新しいゲーム機が発売される。その名もNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)。
Nintendo/YouTube
「Nintendo Switch」はハイブリッドコンソールのゲーム機だ。リビングルームのテレビでプレイすることもできるし、外出先に持って行くことも可能。基本的なスペックは下記の通りだ。
- ゲーム機の正式名称:「Nintendo Switch」
- 3月3日に発売予定
- 希望小売価格:2万9980円
- 任天堂がこれまでに生み出してきた主要なキャラクターを総動員したゲームのラインナップ。
Nintendo Switchにまつわる話はこれ以外にももちろんたくさんある。Business Insider編集部ではようやく一台入手することができた。伝えたいことは山ほどある。今までに僕たちが知り得たNintendo Switchについてのすべてをこの記事に集約した。
2万9980円のパッケージに含まれるすべて。
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箱の中にはいっているもの。
- Switchコンソール ―― ゲーム機本体がタブレットになっている。
- Joy-Con(コントローラ)
- (テレビに接続するための)Switchドック
- Joy-Conグリップ
- (モーションゲームをプレイしている最中にJoy-Conを失くさないための)リストストラップ×2
- ACアダプター
- HDMIケーブル
下記のパッケージは2万9980円のもの。赤と青のJoy-Conが同梱されているバージョンとグレイのバージョンがある。
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Joy-Conは別売りもしている。それに関しては後述する。
Joy-ConグリップとSwitchドック
「TVモード」のコントローラ(左)。2つのJoy-ConをJoy-Conグリップに嵌め込んでいる。右はSwitchドックとSwitchコンソール。
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3月3日に発売となるNintendo Switchには上の画像と同じものが入っている。
Joy-Con(コントローラ)は、Switchコンソールの両側に接続したり(携帯モード)、従来の据え置き型ハードのコントローラのようにJoy-Conドックに嵌め込んだり(TVモード)、Joy-Con単体で使ったり(テーブルモード)、と3通りの使い方ができる。
*なお、Joy-Conは充電する必要がある。その場合は、Switchコンソールがドックに置かれている時に接続しておくこと。
追記:パッケージに含まれているすべてのアイテムは個別に購入できる。たとえば、Joy-Conの左側だけが欲しい場合も、左側だけ買える。詳しくはNintendoのサイトで確認してほしい。
SwitchコンソールとSwitchドックの接続場所
Corey Protin
SwitchコンソールとSwitchドックはUSB-Cポート経由で接続する。SwitchコンソールをSwitchドックに接続するのはとても簡単。(SwitchコンソールをUSB-Cポートに導く)小さなブラケットがあり、Switchコンソールを軽く左右に動かせば、うまく接続できるはず。うまく接続された時にはクリック音がする。
Switchコンソールの下部には充電用のUSB-Cポートが付いている。ここから電源コンセントにつなげれば、数時間もの連続プレイが可能。
Joy-Conグリップ(TVモード)を実際に使用してみた。少し手に余る大きさだが、慣れれば使いやすい
TVモードのコントローラ
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左右2つのJoy-Conは、Joy-Conグリップの両サイドに簡単に接続できる(TVモード)。ゲームコンソールのコントローラソリューションとしては完璧とは言い難いが、別途コントローラを購入する必要がないという意味で優れものと言える(これについては後述する)。
左右それぞれにボタンが4つずつ、両サイドにはショルダーボタンとトリガー。最近のゲームコンソールのコントローラとしては標準的な仕様といえる。ただし、人間工学的に言うと少し不自然だ(たとえば、Xbox Oneのコントローラは手に馴染みやすいブーメラン型)。
なお、左右のJoy-Con2つをJoy-Conグリップに装着しなくても、Nintendo Switchを操作することができる(テーブルモード)。それぞれのJoy-Conを左右の手に持ち、バラバラになった状態のコントローラとしても使用できるのだ。少々おかしな感じだが、この方が快適だった。
テーブルモードのコントローラ
Corey Protin
携帯モード
Switchコンソールの両側にJoy-Conを付けて「携帯モード」に。
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Joy-ConをSwitchコンソールの両サイドにスライドさせるとポータブルゲームコンソールの出来上がりだ(携帯モード)。それぞれのJoy-Conにはスティックと4つのメインボタンが付いている。Switchコンソールと合体させて使用可能だが、スクリーンから取り外しても使用できる。
任天堂によると携帯モードでの連続使用可能時間はおよそ3時間。実際に使ってみたところ、バッテリーの消耗がそれほど大きな問題とは思えなかった。携帯モードでの長時間使用を試していないので、実際どうなのかはまだ不明だが。
Joy-Con
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Joy-Conには何種類かの色が用意されている。標準仕様のグレイに加えて、上の画像のようなネオンブルーとレッドの2色がある。
左右それぞれのJoy-Conにはフルセットのボタンが搭載
Joy-Conを横向きに持つと独立したコントローラに。
Corey Protin
Joy-Conを横向きにすると、コントローラに早変わり。真ん中にスティック、右側に4つのボタン。ショルダーボタンは上に2つ。
Joy-Con(グレイ)
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左右独立しているので、失くさないように気を付けたい。上の写真はグレイだが、青か赤のJoy-Conで統一することもできる。いずれか1つだけを購入する場合は右用、左用それぞれで1つ50ドル(5000円くらい)だ。
PlayStation 4の「シェア」ボタンと同様、スクリーンショットをキャプチャーできる「レコードボタン」はコントローラに
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Nintendo Switchではゲームのスクリーンショットをキャプチャーすることができる。 スクリーンショット保存専用のボタンが搭載されているのだ。このボタンはコンソール本体から直接スクリーンショットをソーシャルメディアでシェアすることを可能にしてくれるそうだ。スクリーンショットボタンを使えば、ゲームはより楽しくなるだろう。いとも簡単にゲーム中の写真を記録しておくことが可能なのだ。Nintendo Switchではまた、このボタンでムービーを録画することもできる。だが、この機能は2017年3月の段階ではまだ使えない。「Xbox One」や「PlayStation 4」のように、ゲームのライブストリームが可能となるのかどうかはまだ不明だ。現在、BusinessInsider編集部にあるNintendo Switchでは、第三者のソリューション(動画キャプチャーデバイスなど)の手助けなしでは、ゲームムービーのストリーム配信はできなかった。
Joy-Conには「HD振動」というバイブレーション機能が搭載されている
Screenshot/Matt Weinberger
Joy-Conは見た目以上に充実した機能を有している。振動するのだ。そして、モーションコントローラとしても使える。モーションゲームの多くがNintendo Switchにやって来る予定。Wiiで採用されたギミックへの奇妙な先祖帰りのような感触も否めないが。
Nintendo Switchに搭載されたモーションコントロールを大々的にフィーチャーした最初のゲームは、牛の搾乳をしたり、目に見えないサンドイッチを食べたりする「1-2-Switch」というゲームだ
Nintendo
ごく普通のコントローラが使いたいという人向けに「Nintendo Switch Proコントローラー」も用意
Nintendo/YouTube
スタンダードなコントローラでゲームを楽しみたいという人向けに「Nintendo Switch Proコントローラー」を用意している。「Xbox One」のコントローラに似ている。スティックは凹状、4つのフェイスボタンを右側に配置している。価格はおよそ7000円。
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「Nintendo Switch Proコントローラー」は半透明のケースに包まれている。レトロで好感の持てる仕上がり。Joy-Conの機能を再現しているが、操作のしやすさを考えると、形状はこちらの方がはるかによい。NFCセンサー(近距離無線通信)が内蔵されているので、amiibo(アミーボ)にも対応している。ジャイロセンサーも組み込まれているので、「スプラトゥーン2」などジャイロセンサーの使用を前提としたゲームも楽しむことができる。もちろん、HD振動機能にも対応。
Nintendo Switchは様々なシーンで楽しめる
Nintendo
左上:Nintendo Switchは車での移動中でも楽しむことができる(もちろん、ドライバーはプレイできない)。ここではJoy-Conを2つにわけてプレイしている(テーブルモード)。かなり小さく見えるが、実際、笑ってしまうくらいに小さい。マリオカートを車の中でプレイしている。
真ん中上: これがNintendo Switch Proコントローラーだ。(小さな)Joy-Conではなく、このコントローラーでマリオカートを楽しむこともできるのだろうか(たとえば、車の中で)? 可能かもしれないが、ゲームパッドを持ち歩く、というのはあまり現実的な選択肢とは言えない。
右上:Switchコンソールにはキックスタンドを組み込まれている。映画を観るためのデバイスとしてもNintendo Switchは適している。現在のところ、Nintendo Switchがマルチメディアデバイスなのかどうかは明らかにされていない。
左下:この画像を見てわかるよう、左右のJoy-ConをスライドインしてJoy-Conグリップに取り付けことができる。
真ん中下:Nintendo Switchはマルチプレーヤーに対応している。一緒にいる友達とワイヤレスでプレイすることが可能だ。8人まで同時にプレイすることが可能だ。
右下:ゲームと共に過ごした1日を満喫した後、SwitchコンソールをSwitchドックに戻せば、再びホームコンソールへと早変わり。SwitchコンソールにJoy-Conが接続されたままでもProコントローラーは使用可能。
「ゲームカード」指して、ゲームを始めよう
任天堂はこれを「ゲームカード」と呼んでいる。Nintendo 3DSを知っている人には馴染みのあるものだろう。3DSのカートリッジよりもほんの少し大きいサイズである。
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「スーパーマリオ オデッセイ」
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Nintendo Switch向けに発売される予定のゲーム:
- 新しい3Dスーパーマリオ、「スーパーマリオ オデッセイ」
- 新しいマリオカート、「マリオカート8 デラックス」
- 新しいNBAゲーム、「NBA 2K18」
- ベセスダゲームスタジオの2011年の傑作、「ザ・エルダー・スクロールズ5:スカイリム」
それだけでなく、「スプラトゥーン2」も夏には発売される予定だ。また「1-2-Switch」を含むその他のゲームも3月3日のローンチ時に同時発売される。残念ながら「スーパーマリオ オデッセイ」は2017年12月頃の予定となっている。またFIFAのサッカーシリーズがNintendo Switch向けに販売される予定だということをエレクトロニック・アーツ社は発表しており、日本発の複数のRPGタイトルも発売されることが決まっている。またインディーゲームである「Snipperclips」というゲームも3月3日に発売される予定だ。
特筆すべきは3月3日に「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」がNintendo Switchと同時に発売される、ということだ。
Wii Uでも発売予定。
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「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」はeShopからダウンロードもできる(もちろん、「ゲームカード」版もある)
Ben Gilbert/Business Insider
インターネットに接続し、アップデートをすれば任天堂のデジタルゲームショップである「eShop」へのアクセスが可能となり、新しいゲームを購入することができる。
任天堂はオンラインサービス「Nintendo Switchオンラインサービス」を開始。最初は無料で使えるが、秋には有料サービスに移行する予定。
4月に発売予定の「マリオカート8 デラックス」は任天堂の新しいオンラインサービスを使ったゲームの1つだ。
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Nintendo Switchとともに、任天堂は新しいオンラインサービス「Nintendo Switchオンラインサービス」を立ち上げる。このサービスは3月にローンチされた後、しばらくの間無料で使えるが、秋には有料のサービスとなる。
任天堂の代表取締役社長である君島達己氏は「詳細は後日発表する」としたが、いつの発表になるとは明言しなかった。任天堂のウェブサイトで公開された情報によると、このサービスはソニーやマイクロソフトが展開しているPlayStationネットワークやXboxライブなどの有料サービスと似たものとなりそうだ。これらのサービスではクラウド保存、無料で遊べるマンスリーゲームなどを提供している。マルチプレイ、ボイスチャット、ファミコン/スーパーファミコンのゲームなどが月ごとに楽しめるサービスが予定されている。
無料で遊べるファミコンおよびスーパーファミコンゲームの利用期間は1カ月に限定されるようだ
Flickr / Lenny Pichette
(ファミコン/スーパーファミコンのゲームなどが月ごとに楽しめるサービスについて)「基本的に一定期間、特定のゲームを楽しむことができ、その翌月にはまた別のセレクションに変更される。購入することもできるが、翌々月にはまた別のゲームへと変更される」。米国任天堂の代表取締役社長、レジナルド・フィサメィ氏はWiredに語った。
この発言を読む限り、あまり気が利いたサービスとは言えないようだ。Xbox OneおよびPlayStation 4の場合、Xbox LiveまたはPlayStation Plusの有料会員でいる間は提供されているゲームを制限なく楽しむことができるようになっている。Nintendo Switchの場合、無料で遊べるファミコンおよびスーパーファミコンのゲームの利用期間は1カ月に限定されるようだ。これらの任天堂のゲームがかなりの年数を経たゲームだという事実を鑑みると、あまりロジカルなやり方だとは言えない。
Nintendo Switchではまだ、クラシックゲームは遊べない。Nintendo Switch版「バーチャルコンソール」の準備はまだ整っていない
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残念ながら、(懐かしのゲームをダウンロードできる)Nintendo Switch向けの「バーチャルコンソール」はまだローンチする準備ができていないようだ。このサービスは10年ほど前にNintendo Wii上でお披露目された。任天堂が過去に発売してきたゲームにアクセスできる有料サービスだ。
このサービスを使うとファミコンバージョンの「スーパーマリオブラザーズ」を手持ちのゲームコンソールでプレイすることが可能となる。これはWii、3DS、Wii Uなど任天堂がリリースしてきたゲーム機に向けて提供されてきた共通サービスである。
Nintendo Switchの発売に合わせて、なぜこのサービスが提供されないのか。同社からは明確な説明がないが「準備は進んでいる」とのこと。過去に任天堂のゲーム機から購入したバーチャルコンソールゲームすべてをNintendo Switchで楽しめるような仕組みを構築しようとしているのかもしれない。だが、過度な期待は禁物だ。
Nintendo Switchではエリアコードのロックが“解除”される
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過去の任天堂のゲーム機では、たとえば、日本で購入したゲームをアメリカのゲーム機でプレイすることはできないようになっていた。その逆もまた然りだ。ヨーロッパでも同じような状態だった。「Nintendo Switchではこのポリシーを変更する」と任天堂の君島氏は1月に東京で開催されたイベントで発表している。世界のトレンドに従って進化していくことを苦手としている任天堂にとっては、大きな転換点となりそうだ。
技術的なスペック
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任天堂はNintendo Switchのスペックの詳細をいまだ明らかにしておらず、このまま発表しない可能性も否定できない。
僕たちにわかっているのは、内部ストレージの容量(32GBだが、マイクロSDを使って簡単に増やすことが可能)、画面の大きさ(6.2インチ、解像度1280 x 720)だ。画面はタッチ操作が可能で、ゲームプレイ入力デバイスとして、というよりもメニューのナビゲーションを主な使用目的としている。実際、Nintendo Switchを実際使ってみても、タッチパッドはゲームプレイのためではなく、メニューナビゲーションのためだけにあるように今の段階では思える。
プロセッサーの詳細は明らかではないが、NVIDIAのカスタムチップ(専用にカスタムされたTegraプロセッサー)を使用しているとのこと。高度なグラフィック処理を支えているのは「GeForceのゲーム用グラフィックカードと同じ構造に基づくNVIDIA GPU」だ。
最後に、もっとも重要なことは、バッテリーの持続時間。携帯モードで「ゼルダの伝説:ブレスオブザワイルド」をプレイする場合、「バッテリーはおよそ3時間は保つ」とされている。
source :Nintendo、Flickr
[原文:Here's everything we know about Nintendo's new $300 console coming this week, the Switch]
(翻訳:まいるす・ゑびす)