「Appleはアメリカ国内の雇用創出に大きく貢献している」とAppleのティム・クックCEO。
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Appleのティム・クックCEOは言う。「Appleはアメリカ国内の雇用創出に大きく貢献しているが、多くの人はそうは考えていないようだ」
本社があるカリフォルニア州クパチーノで行われた株主総会において、クック氏は「(Appleは)国内で200万人以上の雇用を創出し、その中には製造業も含まれている」と述べた。クック氏によれば、Appleは毎年500億ドル(約5兆6000億円)を材料費に費やしており、たとえば、特殊ガラスメーカーのCorningが製造しているディスプレイ用の強化ガラスや3M製の接着剤など、iPhoneの部品供給のために、様々なアメリカ企業と製造委託契約を交わしている。
アメリカ国内の製造業の活性化をトランプ氏が政策の最優先事項に置いたことで、AppleやAmazonなどグローバルでビジネスを展開する企業は、自社のサプライチェーンの公表を余儀なくされている。なお、Appleが創出しているとされる雇用の大部分は、1億4000万にのぼるアプリ開発によるものだ。
アメリカ国内にAppleの工場はできるのか
トランプ氏は大統領選挙期間中、Appleを名指しし、「スマートフォンやコンピュータの製造を中国で行っている」としたために、Appleのアメリカ国内での活動が世論の話題となった。「わたしが本当に自分の成果を実感できるのは、Appleがアメリカ国内に大きな工場を建てた時だろう。中国やベトナムではなく、ここで」と、トランプ氏はニューヨーク・タイムズに語った。
Appleは今のところ、同社がアメリカ国内でどれくらいの雇用を創出しているかを指摘するにとどまっている(主要な製造委託先であるFoxconnに対し、アメリカ国内での製造の現実性を調査するよう依頼したと伝えられている)。
アメリカだから成功できた
クック氏は2008年のApp Storeの開始を引き合いに出し、「スマートフォンのビジネスはアメリカでもっとも急成長している市場だ」と述べた。「そして、この市場はたった10年足らずの短い間に生み出されたのだ」とした。
クック氏によればAppleは「アメリカ国内の市場を活性化させるための、“他の方法”(アメリカ国内に工場を建設するのではなく)」を模索しているという。
「Appleはアメリカでしか存在し得ないことをわたしたち理解している。Appleは他の国ではけっして生まれなかっただろう」とクック氏は述べる。「アメリカだから、成功できたのだ」
[原題:Apple CEO Tim Cook: 'We know that Apple could only exist in the United States'(APPL)]
(翻訳:日山加奈子)