PwCのマーサ・L・ルイズ(Martha L. Ruiz)とブライアン・カリナン(Brian Cullinan)が問題の封筒の管理責任者。
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26日日曜日(現地時間)に起きたアカデミー賞史上最悪の大失敗、プレゼンターのウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイが作品賞を間違って発表したことで「誰かが首になるはず」と思った人は少なくないだろう。だが、事態はもっと複雑なようだ。
そもそも担当者がベイティに間違ったカードを渡してしまったことが今回の間違いの原因。
アカデミー賞の投票および実際の封筒を管理する会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)と、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは83年間、一緒に働いてきた。エンターテイメント情報紙「Hollywood Reporter」によれば、PwCは受賞者を決める投票の集計を厳重に管理しており、映画芸術科学アカデミーの会計事務も担当している。
同紙の取材に対応した弁護士は「映画芸術科学アカデミーはPwCが注意義務を怠ったと主張することはあっても、同事務所を訴えることはないだろう」と述べた。
作品賞は『ムーンライト』と書かれたカードを見せる『ラ・ラ・ランド』のプロデューサー ジョーダン・ホロウィッツ。
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一方「アカデミーとPwCは非常に長い間仕事をしてきており、契約については詳細に詰めているはず。よってアカデミーはPwCに『賠償金を払うべき。これは最悪の間違いだ』と主張する可能性はある」と訴訟ビジネスの専門家 Devin McRae氏は同紙に語った。
Hollywood Reporterは、裁判で争うことになるとすれば、両者が金銭的補償について合意できなかった場合に限られるだろうと伝えた。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、PwCのブライアン・カリナン(Brian Cullinan)がベイティに間違った封筒を手渡した“犯人”だと伝えた。「カリナンはエマ・ストーンの舞台裏の写真をツイートしていて、注意散漫になっていたのだろう」と同紙は指摘する。
ベイティとダナウェイは、主演女優賞の封筒のコピーを持ってステージに上がり、アカデミー作品賞を『ラ・ラ・ランド』だと発表した。ステージの責任者は、『ラ・ラ・ランド』のプロデューサーがすでに受賞スピーチをしている最中に、正しいカードを渡すはめになった。
PwCは月曜日の夜、間違いの全責任を取ると声明文を発表した。
(敬称略)
[原文:How the Oscars could sue the company that handed out the wrong best-picture card]
(翻訳:須藤和俊)