戦死隊員の妻を施政演説に招待、ホワイトハウスが「政治利用」を否定

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イヴァンカ・トランプ氏(右)とともに施政方針演説に参加したカリナ・オーウェンズ夫人

Alex Wong/Getty Images

トランプ大統領が2月28日火曜日(現地時間)に行った施政方針演説に、イエメン軍事作戦で戦死した海軍特殊部隊ライアン・オーウェンズ(Ryan Owen)隊員の未亡人を招いた。退役軍人などからは、トランプ大統領が政治的な利益のために、未亡人の哀しみを利用しているとの批判が挙がった。ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官は、「(未亡人が)大統領に演出のツールに使われた」との指摘を否定する。

1日水曜日(現地時間)に行われた報道陣との質疑応答でスパイサー報道官は、「1月のイエメンでの奇襲作戦で夫を失ったカリナ・オーウェンズ(Carryn Owens)さんと3人の子どもが、1月末にホワイトハウスに招かれた」と述べた。その際、大統領は彼女を施政演説の場に招待したという。

米紙ワシントン・エグザミナーによると、スパイサー報道官は「招待を受けたのは彼女だ。国家のために亡くなられたご主人に彼女が敬意を払うのは当然のこと」と語った。

スパイサー報道官はさらに、「批判する人がいるなら、この国ではそう感じる権利があるとだけ言おう。政策については言いたいことを言えばいい。しかし、我々はオーウェンズ氏の犠牲に敬意を払う」と続けた。

カリナ・オーウェンズさんは数分ものスタンディングオベーションを受けた。それはスパイサー報道官にとっても、「一度も目にしたことない、長い拍手だった」という。

オーウェンズ氏が命を落とした奇襲攻撃は、トランプ大統領が総司令官として初めて行った軍事作戦の1つである。(オーウェンズ氏の)父親はインタビューの中で、「息子の死の影に大統領は隠れるべきではない」と述べ、作戦の問題点に関する調査を求めた。この攻撃では市民約30人も死亡している。

トランプ大統領は演説の中で、「ライアンは戦士であり、ヒーローだ。テロリズムと戦い、我が国の安全を守った」とオーウェンズ氏を称賛し、こう続けた。「マティス大将(国防長官)の言葉をそのまま引用しよう。ライアンは大きな成功を収めた奇襲作戦の一員だ。この作戦によって、将来の多くの勝利につながるだろう大量かつ重要な情報が得られた。ライアンが残したものは永遠だ。自身の命を友人のために犠牲にするのは、極めて偉大な愛の行為だと言える。ライアンは自身の命を、友人、祖国、そしてこの国の自由のために差し出したのだ。我々は決して彼を忘れない」

カリナ・オーウェンズさんが涙ながらに立ち上がり、拍手をすると、その晩の最も長い拍手が、会場に響いた。

トランプ大統領は「ライアンは天から幸せそうに見ていることだろう」と、原稿にはない言葉を付け加えた。

[原題:Sean Spicer shuts down suggestion that Trump used widow of Navy SEAL as 'prop']

(翻訳:日山加奈子)

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