米国環境保護局のスコット・プルイット長官
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米環境保護庁(以下、EPA)は3月2日(現地時間)、石油・ガス会社に対しメタンガス排出量の報告を求める規制を廃止した。
EPAは、オバマ政権下で定められた排出量報告義務を即時廃止したと発表。この報告義務は2016年11月に通達されたもので、メタンガス排出量と設備環境に加え、メタンガス排出を抑制する方策の実現可能性など、幅広い情報提供を石油・ガス会社に求めていた。
この取り組みはもともと、オバマ前大統領とカナダのトルドー首相の合意によって生まれた「石油とガス生産によって生じるメタンガスの排出規制」を目的とした長期プロジェクトの一環だった。
メタンガスは温室効果ガスの1つで、石油や天然ガスの精製過程で発生する。実際、石油・ガス業界はメタンガスの最大の排出者だ。
温室効果ガスにおけるメタンガスの比率は小さく、二酸化炭素のように大気中に長く留まることはない。しかし、メタンガスは二酸化炭素に比べて30倍の熱を閉じ込める温室効果を持っており、温暖化による気候変動にどのように関わっているのか、気候科学者は現在も研究している。
EPAはメタンガス排出量報告義務の廃止について、プレスリリースで以下のように説明している。
EPAのスコット・プルイット長官は、前政権の命令により、収集してきた情報の必要性を精査する。EPAは3月1日(現地時間)には、 9州の司法長官およびミシシッピ州とケンタッキー州の知事から、石油・ガス精製施設に対する情報報告義務が宙に浮いていることへの懸念を示す書簡を受け取った。
「こうした懸念を真剣に受け止めるとともに、各州との連携を強化していく姿勢を示すため、今回の決断に至った。この決定は事業主の負担軽減につながるだろう」(プルイット長官)
[原文:The EPA will no longer require oil and gas companies to report their methane emissions]
(翻訳:十河亜矢子)