熱々のピザを“出力”できる3Dプリンター、間もなく登場

最近のロボットの働きは驚異的である。絵画を描いたり、レタス畑を管理したり。さらには人間のようにも振る舞える。

シリコンバレーのスタートアップBeeHexは、ピザ用3Dプリンターを開発した。

同社共同創業者のジョーダン・フレンチ（Jordan French）氏によると、BeeHexは2016年、宇宙飛行士用のピザマシン開発のために、アメリカ航空宇宙局（NASA）から12万5000ドル（約1400万円）の助成を受けた。NASAは、食欲をそそらない宇宙食とは一線を画すおいしい食べ物を簡単に作れるロボットを求めていた。

BeeHexはその後、商用ベースで受け入れられるマシンの開発にシフト。テクノロジー系メディア TechCrunchは2月、同社にとって最初の製品となるピザ製造3Dプリンター｢シェフ3D｣の製品化に向けて、シードラウンドで、ベンチャーキャピタルから100万ドル（約1億1400万円）を調達したと報じた。

｢シェフ3D｣は今年後半、テーマパークやスポーツアリーナ、ショッピングモールに導入される予定。フレンチ氏は｢ロボットの方が人間に比べて速く、清潔で、安定している｣と自信を示す。ロボットの操作に必要な人間は1人だけ。ロボットは生地を作ってソースとチーズをトッピングする作業を1分で済まし、5分間オーブンで焼いて12インチ（約30cm）のピザを完成させる。

ピザを作る3Dプリンターの詳細は次のとおり。

BeeHexのロボット｢3Dシェフ｣。フレンチ氏によると、あらゆる形や種類のピザを作れるという。使う生地やソース、チーズの種類はロボットに接続したコンピュータが指示する。

マシンの納入先はまだ確定していないが、フレンチ氏によるとテーマパークの シックス・フラッグス （Six Flags）が契約する可能性があるという。ユーザーは下の写真のような“売店”でピザを注文できる。

ユーザーはアプリで注文する。完成したら、通知をもらう。ユーザーはピザのサイズ（10インチまたは12インチ）、生地（プレーン、トマト、グルテンフリー）、ソース（トマトバジル、ペスト、ウォッカ）、チーズ（モッツァレラまたはブッラータ）を選べる。

サイズやトッピング、生地や店舗にもよるが、ピザの価格は8～15ドル（約900～1700円）を想定。将来はより厚い生地や、より大きいサイズも選択肢に加える予定。

BeeHexのシステムは、どんな画像データもピザにできる。たとえば、トランプ大統領の形のピザも作れる。

BeeHexは今後、ベーグルやスコーンを作る3Dプリンターも開発予定だ。平らなピザは3Dプリンターともっとも相性がいい。

注文すると、ノズルから液状の生地が出て、希望通りに成形する。

カートリッジから押し出された原料はチューブを通じてノズルから発射される。パルメザンのような固いチーズには、より圧力をかけて押し出す。

｢3Dシェフ｣はソースと溶けたチーズを生地に重ねていく。ここまで約1分。

その後、約400度のオーブンで5分間焼くとできあがりだ。最後にピザを切り分けよう。

｢試しに1枚食べてみたが、普通のピザと変わらなかった。だが、生地が極薄のため、あっという間に冷めてしまった。しばらくすると、ピザというよりクラッカーのような味がした（BeeHexではピザは焼きたて）｣

熱々の時は、人間のシェフが作るピザと同様、あるいはそれ以上においしい。フレンチ氏は｢3Dプリンターは、生地が何百層もあるペストリーなど、人間が作るのは不可能な食品を作り出せる可能性を秘めている｣と語った。

［原文：This robot can 3D-print and bake a pizza in six minutes］

（翻訳：須藤和俊）