「ペンタゴン・ペーパーズ」めぐる米政府とメディアの攻防描く映画、スピルバーグが監督

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ペンタゴン・ペーパーズをリークしたダニエル・エルズバーグ(2004年撮影)

REUTERS/Stephen Hird SH/ASA/DL

ベトナム戦争への米国の介入に関する「組織的な嘘」が1971年に暴かれるきっかけとなった機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」をテーマにした映画『The Post』の監督を、スティーブン・スピルバーグが務めることに同意したと、業界誌デッドライン・ハリウッド (Deadline Hollywood)が報じた。

『The Post』は、ワシントン・ポストの人物を中心に描いており、発行人ケイ・グラハム(Kay Graham ) 役のメリル・ストリープと、ワシントン・ポストの編集主幹ベン・ブラッドリー( Ben Bradlee) 役のトム・ハンクスが主演を務めることが決定している。

デッドラインによれば、映画の詳細はまだ固まっておらず、公開日も決定していない。

ペンタゴン・ペーパーズの実際の物語は1967年、当時の国防長官ロバート・マクナマラが米国のベトナム戦争への介入を調査するための特別チームを編成したことから始まった。戦争が拡大する中、調査に参加したダニエル・エルズバーグ(Daniel Ellsberg)が、密かに文書をコピーし、内容をマスコミに漏洩した。

文書では元大統領のリンドン・ジョンソンがベトナム戦争への介入について米国民と米議会に「組織的に嘘をつき」、米軍がベトナム国境線からラオスやカンボジアなどの近隣諸国へ戦争を拡大したことが報告されていた。

1971年6月13日、ニューヨーク・タイムズがペンタゴン・ペーパーズに含まれた情報を基に、連載記事の掲載を始めた。米司法省はこの連載が国家の安全に損害を与えると主張、連載差し止めを裁判所に請求した。ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストは共同で法廷闘争に臨んだ。6月30日、最高裁判所は6対3で、政府側が国家的安全への損害を証明できなかったとの判決を出し、記事の正当性が保証された。

ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストはその後も記事の掲載を続けた。ペンタゴン・ペーパーズの機密指定は後に解除され、国立公文書記録管理局によって全文が公開された

(敬称略)

[原題:Spielberg is making a film on the 'Pentagon Papers' that exposed lies about the Vietnam War]

(翻訳:日山加奈子)

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