アプリは会話は記録せず、「割り込み」の数を数えるだけ。
Woman Interrupted
男性と女性が会話をしている。主に女性が話をしているとしよう。様々なエピソードを交え、自身の意見を相手に伝えようとする。と、その途中で男性が“割り込む”。「ちょっと、待って。そもそもそれはこういうことでしょう。僕が思うに……」「わかった。まずは、ここまでの話を整理しよう。ああ、いや、きみ、ちょっと黙ってくれる?」。よくあるシーンである。
広告代理店「BETC Sao Paulo」は、会話中に“男性”がどれほど割り込みをしているかを測定するアプリ「Women Interrupted」を開発した。「女性が」ではない。男性の割り込み回数を計測するアプリなのである。
アプリを紹介するビデオ(下記参照)では、「マンタラプションズ(manterruptions)」の良く知られた場面が紹介されている(manterruptions:manとinterruptionを組み合わせた言葉。女性が話している途中に男性が行う「割り込み」の意味)。
たとえば、カニエ・ウエストが2009年のMTV Video Music Awardsでテイラー・スイフトに割り込んだ場面や、2012年のブリット・アワード(イギリスの音楽賞)で司会のジェームス・コーデンが受賞スピーチをするアデルに割り込んだ場面などだ。
つまり、このアプリは「マンタラプションズ」という、ハラスメントの一種を牽制するためのツールなのである。
使い方は簡単。ユーザーは最初に自分の声を録音する。ユーザーの声を認識できるようになったアプリが、内蔵マイクで実際の会話の音声を分析し、 「割り込み」を即座に発見してくれる。
同社によると、アプリは会話を記録するわけではなく、「割り込み」の数を数えるだけ。アメリカでは関係者すべてが事前に同意していない会話の録音を違法とする州もあるからだ。
昨年9月に行われた大統領選の討論会にヒントを得た。討論会では、民主党のヒラリー・クリントン氏が、共和党のドナルド・トランプ氏に51回「割り込み」された(逆に、クリントン氏がトランプ氏に「割り込み」をしたのは17回だった)。
このアプリは職場での利用を想定している。もちろん、女性だけではなく、男性も利用可能だが、その目的は「自分(男性)が女性の同僚に何回『割り込み』しているかを知ることで、日頃の行動を改善するため」であって、それ以外の使い方はこのアプリの本来の開発意図からは外れる。
BETC Sao Pauloの共同CEO ギャル・バラダス(Gal Barradas)氏は、プレスリリースでこのように述べている。「わたしたち女性は『マンタラプションズ』のせいで、職場での居心地が悪くなっている」
BETCは将来的に「割り込み」の回数を国別に比較できるダッシュボードを発表する予定。
[原文:This app says it measures how many times women are interrupted by men]
(翻訳者:にこぱん)