Getty Images/Ethan Miller
世界経済はこれから2~3年間は穏やかな成長が見込めるが、金融や政策の不安定さがそれを妨げる可能性がある。
経済協力開発機構(OECD)が7日(現地時間)に公表した中間経済見通しによると、「世界経済の成長率は2016年の3%弱から、2017年は3.3%、2018年は3.5%前後まで緩やかに上昇する見込みだ」という。
ただ「金融市場とファンダメンタルズの乖離や潜在的なマーケットのボラティリティ(価格の変動性/変動率)、金融の脆弱性や政策の不確実性」がその成長の妨げとなる可能性があると指摘する。
OECDはそれぞれのリスクについて、さらなる説明を加えている。
不安定なファンダメンタルズ
「名目金利の大幅な上昇や、名目・実質GDPの長期的見通しの安定にもかかわらず、株式価値は過去6カ月以上、複数の主要マーケットで上昇している」
OECD
S&P 500は、昨年9月以降に8%以上持ち直したが、最近は危険信号を発し始めた。出来高の減少、ボラティリティ期待と経済見通しの不確実性のミスマッチ、利回り曲線のフラット化は株式市場の反発の終わりが近いことを示している。
為替レートのボラティリティ
加えてOECDは「金融市場の期待感は、これから数年の間に主要先進国間の短期金利が大幅な分岐を迎えることを暗示している」と指摘。「これが金融市場の緊張とボラティリティ、そして為替レートのリスクを高め、より幅広い金融不安につながる可能性がある」という。
より高い成長率や複数回の利上げへの期待によるドル高は、発展途上国の経済リスクを際立たせている。多くが2013年の繰り返し(アメリカ連邦準備制度による締め付けが、途上国経済の破壊的な資本流出の原因となった)を警戒している。
OECD
金融脆弱性
OECDの見通しによると、「近年の金融政策に対する過度の依存により、金融脆弱性が高まっており」「これが長期的な低金利や複数の国の負債レベルの引き上げ、資産価格の上昇や利回りの追求につながった」という。
昨年10月、国際通貨基金(IMF)は世界の負債は史上最高額だといい、投資のレジェンドと呼ばれるビル・グロース氏は、アメリカは連邦準備制度が仕掛けた借金地獄に陥っていると指摘した。
OECD
政策の不確実性
OECDは「有権者の国家に対する信用の低下や低い信頼感が、強固で包括的な成長に必要な政府の政策・アジェンダの追求や維持を困難にしている」と指摘する。
OECD
OECDの成長見通しは、金融危機前のレベル(pre-crisis level)を下回っている。このことは指摘しておくべきだろう。OECDによると「緩やかな上昇は歓迎すべきだが、それでも世界のGDP成長率は経済危機の20年前の平均値である4%前後を下回っている」という。
source:OECD
[原文:OECD: There are 4 big risks facing the world economy]
(翻訳:山口佳美)