Unsettled
オフィスを離れ、リモートで働くアメリカ人が増えている。旅行系スタートアップ「Unsettled」の力を借りれば、バリ島のプライベートヴィラで起床し、朝食に現地のフルーツ食べ、シャワーを浴びてから仕事を始める。そんな生活も可能だ。
2016年に創業した「Unsettled」は起業家、フリーランサー、キャリアを変えようとしている人たち向けに、30日間の「リトリート・トリップ」(いつもの場所を離れる旅)を提供している。同社によると、参加者はパラダイスのような場所でも生産性を落とすことなく仕事に集中でき、日常から離れて新たな価値観を発見したり、他のプロフェッショナルたちと友情関係を築いたりすることができるという。
Unsettledの共同設立者であるシリアルアントレプレナーのマイケル・ヤングブラッド(Michael Youngblood)に、従来のコワーキングスペースでは得られないリトリート・トリップ独自のメリットを尋ねた。
「コワーキング・リトリート」という響きは、ミレニアル世代のための休暇旅行のように感じるが、「それはわたしたちが意図することではない」(ヤングブラッド)。
Unsettled
Unsettledは、「最良の経験は、自分が完全な参加者となることから得られる」という信念のもと設立された。
「協力(collaborate)・創造(create)・人とのつながり(connect)・貢献(contribute)。これら全てが求められます」とヤングブラッドは言う。
Unsettled
昔の恩師の教えであるこの「4つのC」は、精神面から仕事に至るまで、人生のあらゆる側面において満たされるための指針だという。
Unsettled
2013年、ヤングブラッドはワシントンD.C.で、広告制作会社を経営していた。彼はその時のことをこう語る。
「私の最大にして唯一のクライアントはMIT(マサチューセッツ工科大学)でした。しかし私は大学のキャンパスに足を踏み入れたことはありませんでした」
当時、特定の出勤場所を持たなかったヤングブラッドは、孤独を感じ始めたという。
彼はその頃、バリ島に長期旅行をし、平日は働いて週末は冒険に繰り出す生活をしたい友人がいないか、ソーシャルメディアで調査を始めた。当初は集まっても5〜6人だろうと思っていたが、最終的に友人の友人まで含めた42人が手を挙げた。
ヤングブラッドはこの時ひらめいたという。
「たった2週間前に思いついたアイデアを事業化すれば、8万2000ドル(約940万円)の利益が出る」
ヤングブラッドはこれまでの事業に終止符を打ち、フリーランス写真家で共同創業者のジョナサン・カランと、2016年にUnsettledを立ち上げた。
昨年10月以降、これまで4回のツアーを主催した。行き先はブエノスアイレス、バルセロナ、コロンビアのアンティオキア県にあるメデジンなどだ。
Unsettled
各リトリートの定員は30名で、だいたい埋まる。
参加費は1400ドルから2100ドルと、目的地や期間によって異なる。この費用には、個室のベッドルーム、コワーキングスペース、インターネット、研修会、現地日帰りツアーなどの費用が含まれる。
ヤングブラッドとカランは、全ての応募者に対してある質問を投げかける。
「どれくらい仕事をしていますか」
彼らはUnsettledを怠け者の春休みのような場にしたくないのだ。
Unsettled
このリトリートは、参加者の生産性が落ちないよう配慮している。平日は基本的に仕事。現地のコワーキングスペースと連携し、インターネットなど作業環境を確保している。
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夜はワークショップを開き、自分のスキルをシェアする。トピックはルービックキューブのそろえ方から、自分の心の声を聞く方法まで盛りだくさん。
週末はバリ島を象徴する田んぼを眺めたり、ブエノスアイレスの街で夜遊びをして過ごす。日帰りツアーへの参加は必須ではないが、行かない人はほとんどいない。
Unsettledは黒字化していないが、リトリートの数を増やし、2017年には18〜20ツアーを予定している。
ツアーはリピート客も多い。参加者の約15%はリピート客になり、また、約35%は紹介を通じてツアーに加わる。
家族の中で最初にパスポートを取得し、世界を旅したというヤングブラッド。彼は今月バリに戻り、退屈でない環境で働く。
[原文:Inside the 'co-working retreats' where digital nomads travel the world to work and party]
(翻訳:Wizr)