スーパーマンのような影響力を持とう。
Warner Bros.
チームミーティングに参加している新入社員を想像してほしい。彼の上司は次のプロジェクトを新入社員に発表しているが、どうやら、少し問題がありそうだ。
もし、彼が手を上げて何か言うと、出しゃばりで強引な印象を持たれてしまうかもしれない。 しかし、黙って座ったまま礼儀正しくうなづいているだけなら、無視されるだけだ。この状況は、コロンビア・ビジネス・スクールのアダム・ガリンスキー(Adam Galinksy)教授が「ローパワー・ダブル・バインド(low-power double bind)」と呼んでいる例だ。話さなければ、気づいてもらえない。話せば、罰せられる。
ニューヨークで実施されたTEDxTalkでガリンスキー教授は、組織内で相対的に低いポジションにいる人たちが言動の許容範囲を超えて、対人関係で大きな影響力をおよぼせる方法を解説した。チームミーティングにおける新入社員、車の価格交渉をしようとしている販売員 —— 、職業やポジションにかぎらず、どんな人でも今まで以上に他の人に対して影響力を発揮できる3つの方法を紹介しよう。
1. 相手の視点で考える
「相手が何を望んでいるかを考えると、相手から望むものを与えてもらえる可能性が高い」と ガリンスキー教授は言う。
2008年、ガリンスキー教授と同僚たちは、他者の視点でものを見、考えられるなら、交渉において互いに望ましい結果を得ることができるとの論文を発表した。
たとえば、こんな実験がある。参加者は“買い手”と“売り手”の役を務める。“買い手”が希望する最大額は、“売り手”が受け入れられる最小額よりも少ない。あるいは、ガソリンスタンドを運営するためにマネージャーを雇用したい“買い手”と、ヨット旅行のための旅費が必要で、そのために仕事を探したいと主張している“売り手”。理想的な解決策は、“売り手”の希望価格の下で取引することだが、“売り手”はその後に雇われなければならないという条件がある。
相手が何を考えているかを考え、「他者視点取得」を行動するように言われた学生が理想的な結果を得る可能性が高いという。ただし、実際「他者視点取得」を実践するのは難しい、とガリンスキー教授は言う。とはいえ、「誰かの視点で考えれば、相手から好印象をもたれつつ、野心的で積極的でいられる」(ガリンスキー教授)。
2. 人にアドバイスを求める
「人にアドバイスを求めることは、相手を喜ばせて、なおかつ謙虚な姿勢を見せることになる」とガリンスキー教授。
2011年の調査によると、人にアドバイスを求めれば、アドバイスを求められた人はその人をよく思うようになるという。
こんな実験がある。実験参加者に新しい(架空の)レストランのコンセプトを読んでもらい、レストランに関するアドバイスや意見、アドバイスをお願いした。その後、実験参加者に「どれくらいの頻度でレストランに行ったか」聞いたところ、彼らは「そこで食事をしたいという強い意欲」を見せたという。つまり、アドバイスをした実験参加者は、そうではないほかの実験参加者よりもレストランに親密感を感じたというわけだ。彼らは答えを出すためにレストラン側の視点を一時的に取り入れなければいけなかったのだ。
3. 情熱を引きだす
専門知識を持つことで人は自信を持てるようになる。また、情熱に訴えることは人がプロとして成功する上では極めて重要な方法だ。周りの人は興味を持ってあなたの話を聞いてくれるだろう。結論:あなたは企業における序列上の立場を変えることはできないかもしれない。しかし、自信を持って堂々と自分の考えを伝えるべきだ。そうすれば、いつか自分が望むものを得ることができる。
[原文:How to be more powerful in your everyday life]
(翻訳:梅本了平)