セブン-イレブン提供
ここまで売れるとは思っていなかった。セブン&アイ・ホールディングスのグループ共通プライベートブランド(以下PB)「セブンプレミアム」のことだ。
2007年5月、都内で行われたセブンプレミアム誕生記者会見の様子を覚えている。壇上に披露されたのは、「和風たまねぎドレッシング」「しょうゆヌードル」「みかんゼリー」など加工食品を中心とした49アイテム。マスコミ陣からは「他のスーパーのPBと代わり映えしないよな」といった声が漏れていた。
あれから10年。セブンプレミアムは3650品目に膨れ上がり、売上高1兆円1500億円(2016年度見込み)に。去る3月9日の会見では誕生10周年を機に野菜や肉、魚など生鮮3品「セブンプレミアムフレッシュ」の発売を発表、2019度に売上高1兆5000億円を目指すというからノリにノッている。一方、競合小売りのイオングループPB「トップバリュ」の売上高は7637億円に留まる(2015年度販売実績)。今やセブンプレミアムは、最強PBへと成長したといっていいだろう。
コンビニでもデパートでも同価格
ヒットの要因は何か? 大きく3つのポイントがあると思う。
まず、同一商品をグループ各社で同じ価格で売るようにしたこと。たとえばセブン&アイグループのセブン-イレブンでも、イトーヨーカドーでも、そごう西武でも、100円の冷凍ギョーザはどこで買っても100円。「品質がよくて値頃感がある商品なら、業態は関係なく消費者は手を伸ばす」という商売の本質を市場に見せつけた格好だ。セブンプレミアムの商品構成は生活必需品が中心。約8割は「近くて便利な店」を標榜するセブン-イレブンが売っている。
次に自らが開発母体となって商品を作っている“製造小売業”に徹していることが強み。セブンプレミアムはセブン-イレブンはじめ、グループ会社の商品部の面々が技術力のあるメーカーとチームを組んで開発している。「チーム・マーチャンダイジング」という手法だ。
立ち上げの際は「スーパーで売れるものがコンビニで売れるはずはない」と当の商品開発担当者でさえ戸惑ったと明かすが、業態の違うメンバーが集まることで「スーパーでは調味料や洗剤がよく売れる」「コンビニでは即食性の高いメニューが出る」などと、それぞれが得意とする商品分野の知見を共有し合う利点があった。結果、「消費者が欲しいモノ」の新たな掘り起しにつながっている。
最後に、共同開発したメーカー名をすべて商品の裏面に明記したことがPBの信頼性を高めた。2015年の食品表示法の施行で、いまではどのPBにも生産者名表記が義務付けられているが、以前はなくてもよかった。平たく言うと、昔のPBは価格勝負。「安かろう悪かろう」もアリだったわけだ。
それを否定し、セブンプレミアムは「価格より価値。品質を重視する」(セブン&アイ・ホールディングス 井阪隆一社長)方針を貫いた。それが「食の安全・安心」を求める消費者から支持を集めている。
年間10億円以上売れる商品が192品も
さて単品で年間10億円以上売れる商品が192品目もあるオバケPB「セブンプレミアム」、一体何が売れているのだろう。「公表すると市場に影響を及ぼす」(セブン&アイ広報)と渋られたが、粘りに粘って「数字の公表は1位だけ」との条件で売上高ベスト5を聞きだした。ランキングを初公開しよう(*価格は税込み)。
セブンプレミアム ヒット商品「ベスト5」
1位. カフェラテ(136円)
- 年間売上本数9200万本、売上高125億円
- リピート率高し。甘さを抑えたビターなラテ
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2位. サラダチキン(213円)
- ヘルシー志向の高まりで老若男女から人気
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3位. 毎日の食卓 3.6牛乳(198円)
- 商品名のとおり、“毎日買っちゃう”生活必需品
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4位. ザ・ブリュー(123円)
- サントリーとの共同開発。のどごしスッキリ、新ジャンルビール
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5位 . ワッフルコーン ミルクバニラ(183円)
- ワッフルコーンの香ばしさが際立つロングセラー
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