フォード会長、2008年の倒産危機を救ったのは従業員の無償奉仕と明かす

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会社の将来を憂慮した従業員が無償で働いた。

William Thomas Cain/Getty

2008年の金融危機によって、GMとクライスラーは深刻な危機に陥った。2009年4月、この2つの自動車メーカーは倒産寸前だった。

アメリカ政府はこの状況を打開するため、ブッシュ、オバマの両政権を通じて797億ドル(約9兆円)の援助を行った。うち704億ドルは国民の負担だった。

同様に危機に瀕していたフォードは、政府からの援助は受けなかった。その理由については様々な分析がなされているが、13日月曜日(現地時間)、サウス・バイ・サウスウエストに登壇したビル・フォード会長によれば、会社の将来を憂慮した従業員が無償で働いたためだ。

「死ぬまで忘れない。不景気の暗い日々のなか、我々の最大の競合相手であるGMとクライスラーが破綻した。だが我々はそうならなかった。それはなぜか? 良い経営判断ができたからかもしれない。だがわたしが思うに、理由は従業員たちだ。彼らは会社が倒産するのを黙って見ていることなどできなかった」

「工場の従業員たちから『ビル、あきらめるな。僕らはやれる。期待を裏切らない』といったメールや手紙が殺到した」

彼が不思議に思ったのは、通常そのようなメールは、経営陣から従業員に送られるものだったからだ。

「従業員は土曜も日曜も、午前1時〜2時くらいまで残業代なしで働いてくれた。翌朝、その仕事がまだあるかどうか、その保証さえないのに。実際に次の日に職を解かれた人たちもいた。しかし、彼らは困難を乗り越えるために必要なことなら、どんなことでもやってくれた」

「わたしにとって本当に最高だったことは、我々が借金をすべて返し終えた後、解雇した従業員をほぼ全員をまた雇い入れることができたことだ」

シリコンバレーのIT企業へのアドバイスとして彼は自身の体験を語った。彼は特にUberを名指ししたわけではないが、誰もがそう受け取るような講演だった。

「会社は従業員にとって単なるお金の出どころではなく、それ以上のなにかを提供しなければならない。しかし、その大切なことがテクノロジーを前にすると忘れられてしまう。ソフトウェア、ハードウェア、ビジネスモデルはもちろん重要だ。しかし、何かしら会社のカルチャーを生み出さなければ、従業員はすぐに次の会社、次の良いアイデアのもとに移ってしまうだろう」

[原文:Ford chairman: Employees voluntarily worked with no pay to keep us out of bankruptcy in 2008(F)

(翻訳:太田禎一)

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