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決断を下すのは難しい。
心理学者は、意思決定は目に見えないものに影響され、選択をすれば短期的には幸福を感じることができるものの、選択を繰り返すと不幸を感じやすくなることを発見した。
これらの意思決定に関する深い洞察をTEDから得ることができる。TEDトークで紹介された6つの研究結果を見ていこう。
1. 難しい選択をポジティブに捉える
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哲学者のルース・チャン(Ruth Chang)は2013年、「人は優劣をつけがたい2つの選択肢で悩むことがよくある」と説明した。
人は難しい選択を重荷と感じがちだが、チャンはそれを主体性を取り戻す貴重な機会と捉えるべきと主張する。難しい選択肢の例として、「田舎暮らしと都会暮らし」「ヘルシーな朝食と糖分の多いシリアル」を挙げた。
学び:難しい選択を迫られた時は、自分のアイデンティティを固める機会として歓迎する。
2. 成功のかぎは、やり抜く力
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ペンシルバニア大学の心理学教授、アンジェラ・リー・ダックワース( Angela Duckworth)は、困難な状況になっても挑戦し続ける力「グリット」に関する研究結果を発表した。
ダックワースはグリットは数多くの分野で、個人およびキャリアの成功において、IQ以上の重要な指標であることを発見した。
そしてグリットを育てるための最良の方法は、「成長思考」を育むことだ。成長思考とは、置かれている状況を永続的なものではなく、変えることができると思える思考だ。
学び:状況が厳しくなってきた時が、成功への出発点。「やめるべき」というサインではない。
3. 選択のパラドックスについて
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スワースモア大学の心理学者、バリー・シュワルツ(Barry Schwartz)は2005年のTEDトークで、スーパーのサラダドレッシングの数から、ショッピングモールのファッションスタイルに至るまで、「人はできる限り多くの選択肢を持つべきだ」という誤った考えにとらわれている、という研究を紹介した。
事実、細かい選択も積もり積もれば疲弊する。これは「決断疲れ」と呼ばれ、家庭・仕事にかかわらず、重要な決定の質を落とす可能性がある。
学び:意図的に選択肢の数を制限する。
4. 我々は本当に自分で決めているのか
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行動経済学者ダン・アリエリー(Dan Ariely)は2009年のTEDトークで、外的な要因がひそかに人々をある特定の選択へ導いていることを説明した。
有名な例は臓器提供。臓器提供をする人の割合が多い国では、記入用紙が「参加したくない場合チェックをつける」様式になっている。人々は基本的にデフォルトのオプションを選択する。
学び:デフォルトのオプションを最も健康的なものに設定しておき、なるべく意志力を使わないようにする。例えば、棚にあるジャンクフードを避けるのではなく、初めから購入しないことにするなどだ。
5. 独創的な人の驚くべき習慣
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ペンシルべニア大学の心理学者、アダム・グラント(Adam Grant)は2016年、歴史上最も独創的な人たちは、生産性を最大限にするため、興味深い方法で一日をオーガナイズしていると述べた。
具体的には、プロジェクトに着手するのを少し先延ばしにすれば、様々なアイデアが浮かび、独創的なものができあがるという。意図的なので「先延ばし」とは少し違うが、近しいものだ。
学び:もし、創造性を要する問題を解決したければ、決断を一旦先延ばしにする。これは本当に効果的だ。
6. 経験と記憶の謎
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心理学者のダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)は2010年のTEDトークで、幸福を見つける2つの方法について話した。経験と記憶である。幸福を感じたい時は、この2つを覚えておくべきだ。
例えば、カーネマンの研究によると、2週間の休暇旅行と1週間の休暇旅行を比べた際、経験そのものでは2週間の方が2倍の幸福を感じたものの、記憶を思い返した場合では、幸福度に差はでなかった。なぜなら、新しく加わる記憶がないからである。
学び:経験と記憶のどちらにおいてもより意識的な選択をし、幸福を最大限に感じる。
(敬称略)
source:Flickr/Paul Israel、Flickr/GabPRR、Paul Israel via flickr、Harry Brignull/Dark Patterns
[原文:These 6 TED talks have completely changed how I make decisions]
(翻訳:Wizr)