アドテク企業としてのアドビの戦略 —— TubeMogulを買収し、Advertising Cloudをローンチ

アドビのブレット・ウィルソン氏

アドビの広告担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、ブレット・ウィルソン氏

TubeMogul

アドビはデジタル広告の管理や購入ができるプラットフォーム「Adobe Advertising Cloud」の提供を開始した。同社が21日火曜日に発表した。

これはアドビが昨年12月に5400万ドル(約60億円)を投じた動画広告テクノロジー企業TubeMogulの買収を受けた取り組みだ。

Adobe Advertising Cloudは3つの機能を持つ。検索管理機能、TubeMogulの機能をベースにしたバイイングの自動化機能、そしてアドビが「動的なクリエイティブ最適化」と呼ぶ機能だ(マーケターが広告のクリエイティブをパフォーマンスに応じて変更し、テストできる機能)。

またAdvertising Cloudは、Adobe Analyticsなどの既存の製品との連携も可能だ。

「アドビはこれまで、広告主がオーディエンスとデータの結びつきを計測するためのマーケティングクラウドを提供してきた。しかし、広告主は通常、広告出稿を管理するためには別のソフトウェアを使用する必要があった。アドビは、広告出稿も含めて管理できる初のマーケティングクラウドを実現した。これはマーケティングテクノロジーとアドテクノロジーのギャップを埋めるものだ」とTubeMogulの前CEOで、現在は同社の広告担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるブレット・ウィルソン氏はBusiness Insiderに語った。

同社の競合となるセールスフォースやオラクルは、マーケティング領域の顧客に対するサービスを拡大する目的で、アドテクノロジー企業を買収するのではないかと言われていた。両社は実際にマーケティングテクノロジー企業やデータクラウド企業を買収したが、広告の購入・管理ができるプラットフォームソフトウェアを提供する段階には至っていない。アドテクノロジー業界関係者の多くは、アドビによるTubeMogulの買収は、セールスフォースおよびオラクルによるアドテクノロジー企業の買収に拍車をかけるだろうと予測している。

マーケターにとっての大きな問題は、広告の効果を分析するソフトウェアと広告を購入・管理するソフトウェアとの「欠陥だらけの統合」にあり、その2つを同時に効率的に扱えないことで、多くの時間を浪費しているとウィルソン氏は語る。

同社のプラットフォームによる統合は、時間の節約につながるとウィルソン氏は続けた。

「我々は広告の購入を効率化し、より測定可能なものにし、手間のかかる作業を少しでも減らしたいと考えている」

Advertising Cloudは今週、ラスべガスで開催された同社の年次サミットで発表された。去年のサミットでは、マーケターが所有しているユーザーデータをブランドや小売業者と共有することを可能にし、ウェブサイトを訪れるオーディエンスについて、より正確なデータ測定を可能にしたクロスデバイス対応のAdobe co-opを発表した。同サービスは既存顧客に関する情報を共有することはできるが、新規顧客に関する情報を得ることはできない。

Adobe co-opはウィルソンが統括していないが、同氏はそこに大きな期待を寄せている。「現状では、大量のデータを所有しているプレーヤーが業界に2社ある」と同氏はフェイスブックとグーグルをあげた。「Data co-opはプライバシーに配慮したうえで、人々からデータを収集し、デバイスを超えた個人単位のマーケティングを可能にする。我々はAdvertising Cloudを利用する広告主向けに、このco-opの仕組みを統合することで、データをより有効活用できる環境を構築する」

[原文:Adobe is now officially an ad tech company

(翻訳:まいるす・ゑびす)

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