2016年の映画ベスト10 —— あと、どうしても一言触れたい作品がある

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"La La Land."

Lionsgate/Business Insider

2016年はいろいろな意味で“恐ろしい年”だったが、数少ない良いことの1つは映画業界で起こった。映画批評サイト「Rotten Tomatoes」は、批評家の肯定レビューの集計が75%以上になった映画に「Certified Fresh(新鮮保証)」を送るが、2016年はその数が過去最大となった。業界では、ディズニーが全世界興行利益70億ドル(約8000億円)を達成し新記録を更新した。

今年の映画「ベスト10」には、候補作が数多くあったことは言うまでもない。

10作品選ぶのは難しかったが、映画を見に行くことの素晴らしさを再認識させてくれる作品を選んだ。また、どうしても一言触れたい作品を最後にいくつか付け加えた。


10位:ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命(Jackie)

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Fox Searchlight

夫のジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された後のジャクリーン・ケネディの姿は忘れがたいものだった。映画はケネディ政権の黄金時代の終焉を舞台に、これまでメディアが描いていたような内気な人物とはまったくかけ離れたファーストレディであった彼女を美しく描く。ナタリー・ポートマンはキャリアの中でも最高の演技を披露し、ジャッキーになりきって作品の格を上げている。


9位:ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(Rogue One: A Star Wars Story)

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Lucasfilm

『スター・ウォーズ』シリーズ初のスピンオフ作品は、よくできた戦争映画みたいなものだ、などと評された。その通りだ。『ローグ・ワン』は独創性に富み、見終わる頃にはすっきりした気分になれる。登場するキャラクターや場所の多くが『スター・ウォーズ』の世界を思い起こさせるが、メインシリーズでは失われかけているハラハラドキドキ感がある。


8位:ムーンライト(Moonlight)

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A24

マイアミに生きる若者の人生を3部編成で描き、人生の複雑さを捉えたバリー・ジェンキンス監督の感動作品。映画好きなら見ておきたい作品だ。演出・演技・撮影手法・音楽のすべてがハイレベルでありながら、ストーリー構成も今年もっとも力強い作品の1つ。


7位:マンチェスター・バイ・ザ・シー(Manchester by the Sea)

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Amazon Studios

忘れてはいけないのはケニス・ロナーガン監督の新作で、これもストーリー構成がなかなかのもの。兄の死後、残された16歳の甥の後見人となった男にケイシー・アフレックが扮し、親しい者を失った悲しみと自分を許すことの難しさを描き出す。アフレックの寡黙で重みのある演技は、彼のキャリアの中でもずば抜けている。


6位:メッセージ(Arrival)

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Jan Thijs/Paramount

秀逸なSF映画の脚本は、現実世界を土台にしたものが多く、「メッセージ」も巧みな脚本と衝撃のラストシーンで観る者を圧倒する。エイリアンの宇宙船が地球に突如着陸したのはなぜか。その真実解明に迫る科学者をエイミー・アダムスとジェレミー・レナーが演じる。科学とスリルの両方が共存している作品だが、エイミー・アダムスの役柄が旅するシーンは蛇足。


5位:ヘル・オア・ハイ・ウォーター(Hell or High Water)

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CBS Films

今年見た中でもっとも素晴らしい脚本の作品。テイラー・シェリダンのシナリオの力を借りて、監督のデイビッド・マッケンジーや俳優陣のジェフ・ブリッジス、クリス・パイン、ベン・フォスターらはほとんど不可能なことをやってのけた。銀行強盗がテーマの映画を今までに誰も見たことがないようなものにしたのだ。


4位:沈黙 —— サイレンス —— (Silence)

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Paramount

17世紀の日本でキリスト教布教に尽力した2人の聖職者を題材にしたこの映画を作るため、マーティン・スコセッシ監督は実に30年をかけ、待っただけの価値ある作品に仕上げた。「沈黙」は今までにスコセッシ監督が手がけてきた作品とはまったく違う。彼が敬意を表する海外映画へのオマージュとともに、近年演技の幅を広げている俳優アンドリュー・ガーフィールドの名演が光る。


3位:アメリカン・ハニー(American Honey)

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A24

アメリカの中心部を旅して回ったのちにイギリス人監督のアンドレア・アーノルドは、社会から外れた10代の若者集団が昼は雑誌を売り、夜はパーティに明け暮れながらアメリカ中西部を旅するという非常に即興的なストーリーを思いついた。新人のサーシャ・レーンは、このキャラバンに最後に参加しシャイア・ラブーフ演じる青年に恋をする役柄を演じた。映画はリアルな演技と手持ちカメラの映像によって観る者を完全に飲み込む。


2位:ラ・ラ・ランド(La La Land)

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Lionsgate

今年観た中で、鑑賞中に微笑むことが断然多かった映画。2人の悩めるアーティストが恋に落ちるも、お互いの夢のためそれぞれの道を歩んでいく様を、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが見事なケミストリーで演じ切った。夢のようなロサンゼルスでの美しい生活を「パッション」のデミアン・チャゼル監督が描いたミュージカル作品。


1位:O.J. : メイド・イン・アメリカ(O.J.: Made in America)

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ESPN

7時間半のドキュメンタリーを映画と呼ぶか、テレビドラマと呼ぶかは議論の分かれるところだが、今年何度もこの作品を鑑賞した経験から言えばこれは完全なる映画作品だ(初めて観たときは全パートを一気に観た)。監督のエズラ・エデルマンは人種や政治、家庭内暴力や格差、司法制度といった問題について、アメリカのかつての偉大なポップカルチャーアイコンという斬新な観点から斬り込んだ。5つのパートにわかれてはいるものの、連続ドラマというより1つの力強いストーリーという印象だ。実際のところ、その判断はエデルマン監督と放送局に委ねられている。


特筆すべき作品たち

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"The Handmaiden."

Amazon Studios

もし、3時間の暇つぶしをしたいなら『ザ・ハンドメイデン』(The Handmaiden)は絶対に見るべき官能スリラーだ。『ポップ・スター:ネバー・ストップ・ネバー・ストッピング』(Popstar: Never Stop Never Stopping)は、84年公開のロックバンド映画『スパイナル・タップ』のポップカルチャー版であり、アンディ・サムバーグと彼のコメディトリオであるザ・ロング・アイランドが最高でマニアには堪らない作品になっている。

テレビ業界で最も悪名高い出来事を監督のロバート・グリーンが独特のセンスで映像化した『ケイト・プレイズ・クリスティーン/Kate Plays Christine』(Kate Plays Christine)は、普通の脚本に飽きた人にお勧めだ。『ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ』(Weiner)は政治家アンソニー・ウィーナーのもっとも不名誉で自滅的な瞬間を捉えている。80年代のダブリンが舞台の『シング・ストリート』(Sing Street)は、意中の子の気を引こうとバンドを始める少年の物語だ。作業する手をちょっと休めて、Netflixで見て欲しい。

[原文:RANKED: The 10 best movies of 2016

(翻訳:小池祐里佳)

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