スターバックスCEOのハワード・シュルツ氏
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スターバックスは年次株主総会で、社会的信念を貫く考えを時間を割いて説明した。
「ビジネスにおける決断の全てが、経済的な理由で下されるわけではない。リーダーシップやモラルを守る勇気は受動的なものではないからだ」と、CEOのハワード・シュルツ氏は株主総会で語った。
4月3日付で退任するシュルツ氏は、同社が取り組んできた社会的イニシアチブとして、同性婚の支援や退役軍人の雇用などに言及した。また、難民の入国禁止を定める大統領令にトランプ大統領が署名した後に発表した、1万人の難民雇用方針についても語った。
シュルツは、「国内外の憎しみと暴力が私たちが共有する価値観を脅かす中で、2017年はスターバックスの社会的使命が一層重要な年になる」と述べた。
「スターバックスの店舗や隣人、パートナーとの毎日の関わりの中で、より良いアメリカがあると実感している」
REUTERS/Carlo Allegri
シュルツ氏は、スターバックスの社会貢献は企業としての成功に不可欠なものだと考えている。
「スターバックスは全てのアメリカ人のおかげで成功した。利益を上げることに加えて、我々には社会的な責任があると理解している」
株主総会で、スターバックスは移民や有色人種、LGBTQ(セクシャルマイノリティ)コミュニティのメンバーである従業員を支援する取り組みを強調した。
スターバックスの株主で、保守的なシンクタンクである公共政策研究国立センターの顧問弁護士ジャスティン・ダンホフ(Justin Danhof)氏は、スターバックスの難民雇用計画とシュルツ氏のトランプ大統領批判について、総会のQ&Aセッションで懸念を表明した。
ダンホフ氏によれば、同社の決断は政治的に偏っており株主にコストがかかる恐れがあるという。
「オバマ元大統領の入国禁止令の時には反対する勇気がなかったのに、なぜトランプ大統領の入国禁止令には反対して、スターバックスの株価を下落させようとするのか」
ダンホフ氏は、1月下旬にシュルツ氏が難民雇用計画を発表した後、消費者のブランドへの印象が悪化したというBrandIndexの調査結果を引き合いに出した。
ダンホフ氏の発言には、会場からブーイングが起きた。
総会後にBusiness Insiderの取材を受けたダンホフ氏は、保守派として「株主総会に出席するのは居心地が悪い」と述べ、スターバックスで働く保守派の人々も同様に抑圧されているだろうと指摘した。
「投資の観点から見れば、保守派と保守派の大統領に敵意を持つ彼らは、潜在的な顧客基盤の半分を軽んじている」
シュルツ氏は、難民雇用計画はスターバックスの経営に何ら影響を与えていないとの、自社の調査結果を明らかにした。また、ダンホフ氏が難民労働者の身元調査に関する余計な支出を懸念しているのに対し、追加予算は必要ないとの考えも示した。
「会社として挑戦してきたことで、政治的なものは1つもない。これらの方針は、私たちの信念に基づくものだ」
[原文:STARBUCKS CEO: Not every decision in business is an economic one (SBUX)]
(翻訳:小池祐里佳)