TwitterのCEOになるチャンスを辞退したある女性の決断

Twitterの旗

人の状態には「ロック・ミュージシャン」モードと「スーパー・スター」モードがある(キム・スコット氏)。

Anthony Quintano/Flickr

キム・スコット(Kim Scott)氏は以前、「TwitterのCEOになれるなら腕一本くらいなくなってもいい」と発言したことがある。

にもかかわらず、2008年に実際にTwitterからそのポジションへの誘いがあったとき、当時グーグルのマネジャーを務めていた彼女は、悩んだ末に結局その話を辞退した。

チャンスに乗らなかった自身の決断を、スコット氏は自身の著書「Radical Candor」の中で、人の状態には「ロック・ミュージシャン」モードと「スーパー・スター」モードがあり、状況によってモードが変わると説明した。彼女はその後、コーチングソフト開発会社Radical Candorを起業した。

人は「ロック・ミュージシャン」モードの時は、緩やかな成長軌道に乗っており、安定が全てだ。理由は何であれ、自身の現在の仕事に満足しており、必ずしも次の輝ける場所に興味があるわけではない。

一方、「スーパー・スター」モードの状態だと、我々は成長している気分になっている。新たな挑戦を恐れず、昇進やチャンスを探し求めるのだ。

彼女はこれまで、キャリアにおいては、ほぼ「スーパー・スター」モードでやってきたという。しかし、TwitterのCEOの座を手に入れられるかもしれない面接の話があった時、彼女は双子を妊娠しており、出産のリスクも伴っていた。

医者にこの新しい挑戦に手を出すべきかどうか尋ねたところ、返答はこうだった。

「その仕事と、子どもたちの心臓と肺の、どちらが大切ですか?」

「そのときに今は新しい挑戦を求める時じゃないと思った」と、3月にBusiness Insider のオフィスを訪れたスコット氏は語った。

「当時グーグルで与えられていたことは、私が必要としているものだった。やるべき方法をすでに知っている仕事を続けること、その仕事をうまく回す方法を熟知していること、そして出産に集中すること」

著書の中でスコット氏は下記の点を強調する。

「妊娠中だからといって他の女性たちがCEOとして全力を尽くせないと言っているわけではないの。多くの女性がそれは可能であることを証明しているわ。ただ『私』には、できなかった」

「急成長の軌道に戻って、会社を設立しようと思えるようになったのは、双子が7歳になった時だった」

さらに言えば、「ロック・ミュージシャン」モードでいたい理由は、子どもの存在ではないかもしれない。別の個人的な葛藤か、あるいはただ自分の今の仕事を楽しんでいるだけ、ということかもしれないのだ。

キム・スコット氏

Radical Candorの創業者キム・スコット氏

Screenshot/First Round Capital

興味深いことに、スコット氏は後に、当時TwitterのCEOだったディック・コストロ(Dick Costolo)氏から「Twitterでの経営」という講義の設計に手を貸して欲しいと頼まれた。彼女はアップルでも従業員のための経営の講義を手伝っていた。

コストロ氏は、彼のチームを指揮しないかとスコット氏を誘ったが、すぐにこの立場はその時の彼女の生活にうまく当てはまらないと分かった。代わりに彼女は、コストロ氏のCEOとしてのコーチングを担当することになった。

「ディックが私にとってぴったりの役回りを見い出してくれたおかげで、私のキャリアが変わった。緩やかな成長軌道にいたいというだけでなく、もっと書き物をしながら、子どもと一緒に時間を過ごしたいという自分の願いが実現した。そして、ギアチェンジをする時期が来た時には、心の準備は完璧だった」

スコット氏は、上昇志向に縛られて苦しんでいる人に対して、個人的にも仕事のうえでも、優先順位をつけることを勧めている。

「自分に優しくすることはとても大切なことよ」

source: Flickr 、First Round Capital

[原題:A former Google and Apple exec was once offered a chance to become Twitter's CEO — here's why she turned it down]

(翻訳:日山加奈子)

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