ナイキと契約しているラファエル・ナダル選手
Reuters/Arnd Wiegmann
ナイキが、難しい局面を迎えている。
同社は3月21日(火曜日)、第3四半期の決算を発表した。売り上げ、利益は小売業界の減速のあおりを受けた。この四半期の見通しも芳しくない。
アナリストは同社の次の会計年度を「再出発の年」と位置づけている。ナイキは現在、卸を通した販売から、消費者へのダイレクト販売に販売戦略を転換しようとしている。直営店とオンラインでの販売に注力できるようになるまで、厳しい時期が続くだろう。
「夜明けを前に、闇が深くなっている」と、UBSのアナリストは最新の報告書に記した。
懸念の多くは、マイナス4%と伝えられた厳しい販売見込みに起因する。この数字は、この先6カ月間の小売業者からの発注予定数であり、卸を通した販売が主流だった時は、同社製品の需要を示す重要な指標だった。
この数字がマイナスとなったのは、この7年間で初めてのことだとシティバンクの調査をもとにウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。アナリストは、原因はダイレクト販売への切り替えと、製品を店頭により早く並べることができるようになった新しいサプライチェーンにあるとしている。
「ナイキが製品を3カ月未満で納入できるようになったことで、これまで売上予測に使われてきた指標と、売り上げの相関関係が見られなくなってきた」とUBSは述べた。
小売業界を取り巻く環境は、変革に苦心するナイキにとって逆風となるだろう。NPDグループの調査によれば、競技用シューズの2月の売上高は前年に比べて14%減少した。ランニング・カテゴリーと同様に比較的好調だったこのカテゴリーも減収となった。
同社はまた、ライバルのアディダスの復活により、北米市場でのシェアを失った。
しかし、市場はナイキが成長していくという見通しを大きく変えてはいない。ナイキが当該四半期もしくは次の四半期までの間にサプライチェーンのスピードを強化し、市場への商品投入スピードを上げて、復活することを期待している。アディダスに対抗するために開発されたランニングシューズ用の「新しいクッション」のような革新に大きな期待をかけている。
[原文:Nike's business is 'going to get darker before the dawn']
(翻訳:須藤和俊)