アメリカ経済に「危険信号」、銀行融資の減少が示唆するものとは?

アラーム

Red alert.

Flickr/Joe Lewis

ウォール街の金融規制を緩和しようと動くトランプ大統領は、規制は銀行の融資を収縮させ、経済に悪影響を与えると主張している。

株式市場が記録的な上昇を見せているにもかかわらず、経済の見通しは依然として不透明なため、企業が借り入れを減らしているのは事実だ。

先月、トランプ大統領は金融規制改革法(ドッド・フランク法=ウォール街改革および消費者保護法)を「懲らしめる」という彼の公約について、改めて説明した。

CEOらとの会談で大統領は、「ドッド・フランク法を抜本的に見直す。私の友人には素晴らしいビジネスをしているのに融資を受けられない人々がいる。ドッド・フランク法の規制のせいで、銀行が貸さないからだ」と述べた。

しかし、トランプ大統領の主張が正しくないのは、銀行員に聞けばわかることだ。

「銀行貸し出しの減速を引き起こすのは需要であって、供給とは関係がない」と、UBSのストラテジスト、スティーブン・カプリオ(Stephen Caprio)氏とロバート・ソーキン(Robert Sockin)氏は調査報告書でコメントしている。

実際のところ、前代未聞の乱気流を巻き起こしているトランプ大統領こそが、貸し出しを伸ばすための最大の障害かもしれない。

「需要を抑制する要因は、政治的不安定、企業の借り入れ依存度の上昇、米連邦銀行の金融政策の3つがあるが、どれもが今後とも厳しくなる見通しだ。銀行の融資基準が厳しいために貸し出しが減速していることを示す証拠は少ない

UBS

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では、なぜ銀行融資の減少が問題なのか。企業の財務状況が健全であるにもかかわらず、借り入れを手控えていることは、投資の鈍化を示唆しているからだ。

UBSの報告書はこう結論づけている。「もし貸し出しが今後も伸びないようであれば、企業は投資を手控え、不確実性が高まる中で、経済成長が足踏みする可能性がある」

[原文:The US economy is sounding an alarm that everyone is ignoring

(翻訳:小池祐里佳)

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