フレスコニュースがTwitterに投稿した事故の写真。Uberの自動運転車が横転している。
Fresco News/Mark Beach
Uberの自動運転車がアリゾナ州テンペで事故に巻き込まれた。事故は、全米でテストが行われている多くの自動運転車に深刻な影響を与えた。またUberは同州でのテストを中断する。
フレスコニュース(Fresco News)のTwitterに投稿された写真には、Uberの自動運転システムが搭載されたボルボのSUVが横転している様子が写っている。
もう1台は車体がくぼみ、窓ガラスが割れている。事故による負傷者はいない模様。
Uberは、事故当時、車が自動運転モードで走行していたことをBusiness Insiderに認めた。同社はアリゾナ州での自動運転車のテストを中断し、事故原因を調査している。
「事故原因の調査を続けており、車の後部座席には誰も乗っていなかったことを確認した」と同社の広報担当者はメールで述べた。
テンペ警察の広報担当者はブルームバーグの取材に、Uberに事故の責任はなく、もう1台の車が道を譲らずに衝突したとコメントした。
しかし、この事故は自動運転車の安全性についての議論をさらにヒートアップさせることになりそうだ。
テスラの自動運転車がトラックと衝突した昨年の事故では、ドライバーが死亡した。
グーグルの自動運転車は過去数年間で、そのほとんどが手動運転モードだったにもかかわらず、何度か小規模な事故を起こしている。
自動車メーカーとIT企業は、自動運転車の開発とテストを急いでいる。しかし、当局が依然として懸念している通り、安全性と信頼性についてはまだ多くの疑問がある。
規制当局が抱える課題
Uberは事故当時、車が自動運転モードで走行していたことをBusiness Insiderに認めた。
Fresco News/ Mark Beach
Uberは2016年12月、カリフォルニア州当局との決裂の後、アリゾナ州で自動運転車のテストを開始した。
Uberは12月中旬、ピッツバーグで行ったものと同様のテストをカリフォルニア州で行う予定だった。しかし、同社が事前に自動運転車に必要なライセンス取得を怠ったため、カリフォルニアの規制当局は同社の自動運転車16台の登録を取り消した。
その後Uberは、自動運転システムを搭載した同社のボルボXC90、16台全てを自社の自動運転トラック「Otto」に載せてアリゾナ州へ送った。
カリフォルニア州でのテストは1週間しか行うことができなかったが、テスト中に同社の自動運転車がロサンゼルス現代美術館の前の、人通りの多い交差点で信号無視をしたことがビデオに記録されていた。
Uberの広報担当車は、信号無視は人為的ミスによるものと述べた。しかし、同社の関係者は事件が起きた時には自動運転だったとニューヨーク・タイムズに語った。
カリフォルニアでのテスト中には、人通りの多い交差点で信号無視をしたことがビデオに記録されていた。
Uber
Uberは自動運転技術に関して訴訟を起こされている。
アルファベット傘下の自動運転車開発会社ウェイモ(Waymo)は、Uberが自動運転技術の核となるライダーシステムの設計図を盗用したとして同社を訴えた。ライダーシステムは、レーザー光を使って障害物を検知するシステム。ウェイモは、Uberに対して自動運転技術の使用凍結を求める訴えを提出した。
また、Uberは一連の不祥事の発覚を受け、厳しい目にさらされている。
同社の元エンジニア、スーザン・ファウラー(Susan Fowler)氏が、同社でのセクハラを暴露する文章を自身のブログに掲載して以来、Uberはその職場環境や社風が非難を浴びている。
ニューヨーク・タイムズはさらに、同社のマネージャーが、社員旅行中に同僚女性の胸を触り、解雇されたことを伝えている。
なお、当局が同社の配車サービスを規制しようとした際、「グレイボール(Greyball)」と呼ばれるプログラムを秘密裏に使用して、(当局の)規制をかいくぐっていたことが明らかになっている。
[原文:A self-driving Uber got into an accident in Arizona and flipped onto its side]
(翻訳:小池祐里佳)