ドイツ銀行CEOのジョン・クライアン氏
ドイツ銀行はBrexit(ブレグジット: 英国のEU離脱) が迫るロンドンとの関係を強化しようとしている。
同行は2023年に本部をムーアゲート(Moorgate)付近に移転する予定だ。現在建設中の「21 Moorfields」の25年賃貸契約を結ぶため、英不動産企業Land Secutitiesと協議していると、Sky Newsが伝えた。
Sky Newsによると、ドイツ銀行 イギリス部門の最高責任者で、投資銀行部門の最高責任者でもあるガース・リッチー(Garth Ritchie)氏は23日木曜日に社員にあてて、「(この動きは)ドイツ銀行のロンドン重視の姿勢を示したものであり、『選ばれる企業』であり続けることへのこだわりでもある」と説明した。
ムーアゲートの新オフィスは、イングランド銀行の目と鼻の先に建つことになる。また、ドイツ銀行は先頃、資産運用部門をビクトリア(Victoria)に移した。イギリスにはドイツ銀行の従業員が約9000人いる。
Land Securitiesは24日金曜日に「現在、ドイツ銀行と協議中だ。この交渉は数カ月を要する。取引へとつながる保証はない」とコメントした。
ライバルたちがブレグジットを理由にシティーからの撤退を決めている中、ドイツ銀行はロンドンにとどまることを決断した。テリーザ・メイ首相がブレグジット開始の日程を公表した後、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは、ロンドンでの雇用と業務を他の場所へ移すと公式に発表した。JPモルガンとUBSもブレグジットを理由に、事業地の移転に言及している。
メイ首相は“EUとの別れ”を目指す姿勢を示したが、その場合イギリスはEU加盟国内での自由な移動の権利を失うことになり、また、EU市場において、これまで同じような条件では商品とサービスを提供できなくなる。
ヨーロッパのいくつかの都市はイギリスから「逃げ出す」金融機関を呼び込もうと現在、競い合っている状況。ドイツ銀行があるフランクフルトは、その移転先として最近とみに人気を集めている。
[原文:Deutsche Bank is planning a new London HQ despite Brexit]
(翻訳:一柳優心)