モバイル注文はスターバックスの未来を描く重要な要素の1つだ
Matt Weinberger/Business Insider
スマートフォンがわたしたちの知っているコーヒーショップを変えようとしている。ダンキンドーナツとスターバックスはモバイル社会に対応した「未来のコーヒーショップ」を模索している。
21日(現地時間)、ダンキンドーナツのチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)スコット・ハドラー(Scott Hudler)氏は、「コーヒーショップの未来がどのようなものになるかを考えた時、モバイル注文はより重要になるだろう」と語った。
ハドラー氏は将来の店舗の具体的な方向性につて、現時点で公表できるものはないとしたが、ダンキンドーナツとスターバックスの両社は、モバイル注文の増加に合わせて、コーヒーショップには素早い変化が求められていると認識している。
最近では、ダンキンドーナツの注文の1%強がモバイル端末からされている。
スターバックスではこの数字が8%以上となっていて、同社にいくつかの課題を突き付けている。
スターバックスの一部店舗では、モバイル注文の受け取りの利便性を高めるため、専用の棚を設けている。
Kate Taylor
今年1月、スターバックスは顧客のトラフィックを計測する重要な指標の1つである取引数が直近の四半期で2%下落したと発表、その原因の1つとしてモバイル注文を挙げた。先週22日(現地時間)に開かれた株主総会で、同社幹部はモバイル注文のボトルネックに対処すべく、ピーク時の従業員の増強と、商品の受け渡しプロセスの調整を含む改善を行ったと述べた。
「顧客やストア・マネジャーからのフィードバックはとてもポジティブなものだ。ただ、これらは顧客数を伸ばし、店舗の処理能力を上げるべく、我々が改善しようとしているさまざまな課題にとっては、はじめの一歩でしかない」
スターバックスの社長兼COOのケビン・ジョンソン(Kevin Johnson)氏は言う。
より大きな目標に向けた変化には、店舗内の列を店頭注文とモバイル注文の2つに分けるスペースを確保するため、一部店舗の設計を変更することも含まれる。
つまり、ダンキンドーナツとスターバックスの両社は、その店舗デザインを近い将来いずれかの段階で、少なくとも一部店舗ではモバイル注文を中心に据えたデザインに変える必要があると認識しているのだ。
Kate Taylor
ただ、これら2社が思い描く「未来のコーヒーショップ」は、まったく同じものにはならないだろう。ダンキンドーナツの客はスピードを重視するが、スターバックスの客は店の雰囲気の良さを重視する。
コーヒーショップ・チェーンは、この先デジタル注文が極めて重要になるにもかかわらず、参考にすべき前例がないという意味で、小売業界の中でもユニークな存在だ。メイシーズやシアーズといった伝統的な小売業者がeコマースのライバルに対抗できず、数百の規模で店舗をクローズする事態は、小売業がモバイルもしくはオンライン経由の注文を無視する危険性を証明している。
「わたしたちは急速に進歩しなければならない。変化が求められている」とハドラー氏は言う。「小売業やクイック・サービスの飲食業は、こうした変化の最前線にいる」
スターバックスとダンキンドーナツは、モバイル顧客の取り込みに失敗すれば店舗の閉鎖に追い込まれるような状況にはまだない。ただ、スターバックスの最近の動きを見れば、未来のコーヒーショップにとってモバイル注文をうまく取り込む必要があることは明白で、それができなければモバイル注文が増えるにつれ、客を失うリスクにさらされるだろう。
(翻訳:山口佳美)