破産法を申請したと伝えられるLe Cirque
Sarah Jacobs/Business Insider
ニューヨークで最も伝統のあるパワーランチスポットが姿を消すかもしれない。
ニューヨークの58番通りとレキシントン街の間にあるブルームバーグタワー内に入っているLe Cirqueはニューヨークで最も著名なレストランの1つだ。1974年にシリオ・マッシオーニ(Sirio Maccioni)氏が創業したLe Cirqueは、当初からニューヨークの食文化に欠かせない存在だった。
3月24日金曜日、Le Cirqueはアメリカ連邦破産法第11条を申請(Chapter 11)した。Le Cirque(と9つの関連施設)の今後は不明だが、ニューヨークの食文化がまた一歩衰退したのは明らかだ。別の著名レストランであるFour Seasonsも昨年、閉鎖した。デイリー・ニュースは翌25日、同店は今後も運営を継続すると報じている。報道によると、創業者の息子のマウロ・マッシオーニ(Mauro Maccioni)氏は発表文の中で、「au revoir(さようなら)とは言うつもりはない。チャプター11で、我々には店を再建して、オープンし続けるための時間的猶予ができる」と述べた。
Le Cirqueは、クレームブリュレやスパゲッティ・プリマベーラを発明しただけでなく、ダニエル・ブーリュー(Daniel Boulud)氏やデヴィッド・ブーレイ(David Bouley)氏、テレンス・ブレナン(Terrance Brennan)氏といった著名シェフも輩出している。さまざまなスタイルが行き交い、素晴らしい料理を提供し、著名な顧客に恵まれてきたLe Cirqueは、ニューヨークの食文化の良き時代を享受してきた。
26年にわたってLe Cirqueを経営しているマリオ・ウェイナー(Mario Wainer)氏は、ビヨンセ、Jay Z、ローリング・ストーンズのメンバー、歴代大統領、そしてローマ教皇までをも客として迎え入れた。同氏は常連を旧知の友人のように歓迎すると同時に、スタッフとして全てがうまく回るよう気を配る。スタッフと客の間を歌って踊るような仕事ぶりだ。
昨年3月、昼時のLe Cirqueで働くウェイナー氏の1日を取材した。
Le Cirqueの店舗は、マンハッタン中心部のブルームバーグ・ビルにある。料理批評担当のピーター・エリオット(Peter Elliot)氏らブルームバーグの記者たちは、Le Cirqueでランチをとる。
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Le Cirqueのメインのダイニングルームは120席ある。
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カフェも併設されており、夜はバーにもなる。昼時でもここで食事をしたがる常連客がいる。
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このカフェにはブルームバーグの端末が備え付けられている。
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1階部分と2階部分を貫き27フィート(約8.2メートル)のタワー状になっているワイン貯蔵庫は3000本を保管できる。
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2階に飾られているロバート・キャンベラ氏の絵画 『Le Cirque — The First Generation』には、Le Cirqueの最初の店舗に集まった著名人たちが描かれている。今の店舗は3カ所目だそうだ。
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「2人の大統領が同時にここにいたこともある」。ウェイナー氏は、リチャード・ニクソンとロナルド・レーガンが写った写真を指差しながらそう言う。「もちろん彼らは一緒に食事をしていた」
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Le Cirqueは、ずっと家族経営を貫いている。シリオ・マッシオーニ氏は手伝いとしてマリオ氏、マルコ(Marco)氏、マウロ氏の3人の息子を雇った。
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ドキュメンタリーの『A Table in Heaven』や数々の本で題材となってきた。ウェイナー氏は『A Table at Le Cirque』という本に載った自分の写真を指差す。
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昼時の混雑が始まる前、ウェイナー氏はいつも予約の確認電話を入れる。
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この日は50〜60人の来客を見込んでいる。冬はだいたいこのくらい。
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ランチタイムには、Le Cirqueの定番であるル・サーク・サラダやマグロのタルタルソースあえなどのほか、2、3のコース料理が選べるようになっている。Le Cirqueは1月、トム・ヴァレンティ(Tom Valenti)氏という新しいシェフを迎えた。
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同じ座席、同じウエーター、そして同じ飲み物を選ぶ常連客もいる。ウェイナー氏は「我々は習慣の奴隷だ」と述べた。
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11時45分、Le Cirqueは昼時の混雑に備える。ウェイナー氏によると、ランチ時の客の多くは午前11時45分から午後2時30分の間に来るという。
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この日は、国連のカタール代表、アリヤ・アフメド・ザイフ・アル・ターニ(Alya Ahmed Saif Al Thani)氏や、不動産王、ウィリアム・ザッケンドルフ(William Zeckendorf )氏の孫といった客を迎えることになっている。
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正式な営業時間は12時からだが、11時45分に最初の客が時間通りに到着する。
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ウェイナー氏は入り口付近で、全ての客に対し両手で握手したりハグしたりして旧知の友人のようにもてなす。
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ウェイナー氏は、フランス語、イタリア語、スペイン語など5カ国の言語を操る。どんな日も、この5カ国語で客をもてなす。
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こちらはザッケンドルフ氏がいつも座る席。
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昼時の混雑時、ウェイナー氏はフロアを歩き回り、客が満足しているかどうかを確認する。
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キッチンに行ってスタッフをチェックすることもある。
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多くの客の舌を楽しませてきたマグロのタルタルソースあえ。Le Cirqueの名物料理の1つだ。
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ランチ時は10人程度の接客スタッフが働く。
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過去20年にわたって、ウェイナー氏は「パワーランチ」の文化が衰退していくのを目にしてきた。「最近、みんなつながりすぎている。仕事がある日はデスクから離れたがらない」とウェイナー氏は言う。「仕事の後で飲みに行くことはあっても、日中に飲むことは減ってきている」
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ウェイナー氏は、ランチ時にお酒を飲む習慣がかつてよりなくなってきていると指摘する。「みんな変わった。今日では、アイスティーや炭酸水が好まれるようになっている」」
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ターニ氏のような常連客は予約をするのにウェイナー氏の携帯電話にメッセージを送る。
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もちろん、ウェイナー氏の携帯番号を知らなくても、ウェブサイトやアプリから予約できる。
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(翻訳:中西亮介)