人間に代わって配達作業を行うロボット
Starship Technologies
テック企業は無料の食事など、様々な社員特典を提供している。その意図は、社員が社内でランチを取ることができれば、すぐに仕事に戻ることができるということ。
今、小さな自動ロボットが、ランチやオフィス用品などをシリコンバレーのテック企業で働く人たちに届け始めている。疲れた人たちに利便性と柔軟性をもたらすために。
ロンドンに拠点を置くロボット関連のスタートアップ、スターシップ・テクノロジーズ(Starship Technologies)は、アメリカおよびヨーロッパの企業もしくは大学のおける自動ロボットの大規模な展開を発表した。
ロボットはすでに、シリコンバレーにあるインテュイット(Intuit)で食べ物やオフィス用品を運んでいる。2018年末までに1000台を導入する予定だ。
ちょうど1年前、我々はスターシップのロボットのデリバリーの初日に密着した。その時の様子を改めて見てみよう。
※この記事は、2017年3月29日に公開した「レストランの食事を家庭に配達する『ロボット配達員』の初出勤日」を更新したものです。
これがデリバリーロボット。
Melia Robinson/Business Insider
スターシップ・テクノロジーズの共同創業者、Ahti Heinla氏とJanus Friis氏は元はスカイプ(Skype)の共同創業者。火星や月で石のサンプルを集めることができるロボットの開発に取り組んでいた。
2人の創業者は写真には写っていない。
NASA/JPL-Caltech
のちに2人はその技術を使って、デリバリーロボットを開発。2人は2016年、メルセデスベンツの親会社ダイムラーが主導した資金調達ラウンドで約1700万ドル(約20億円)を集めた。
Melia Robinson/Business Insider
出典: Business Insider
2017年3月、我々はロボットによるデリバリーの初日に立ち会った。シリコンバレーのレッドウッドシティの中心街でフードデリバリーサービス企業ドアダッシュ(DoorDash)の配達員として働く。スタートアップ企業2社は、市街地でのデリバリーテストのために協力した。
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従業員の1人がDoorDashアプリを使って、Spaghetti Factoryにラザニアを注文した。
DoorDash
DoorDashのアルゴリズムは、デリバリーを人間が行うべきか、ロボットが行うべきかをリアルタイムで判断する。
今回、レストランの周囲の道は広く、距離は半径2マイル以内。ロボットの出番だ!
レッドウッドシティでテストを始めたとき、スターシップ・テクノロジーズは半径2マイル以内のデリバリー地域の地図を作った。ロボットはこの地図に沿って、最大時速4マイル(約6キロ)で移動する。
Starship Technologies
ロボットにはカメラ9台と超音波センサーが搭載され、仮想の“泡”を周囲に作成する。人や工事用のコーンなど地図に書かれていない物体がバブル内に侵入すると、ロボットは停止するか避けて進むのかの決断を素早く下す。
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ロボットは信号を認識して、安全に道路を横断する。
デリバリー中、ロボットは信号のない道に遭遇した。いつ渡れば安全なのか判断できなかったため、ロボットは会社のオフィスにいるスタッフに連絡し、助けを求めた。
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スタッフはカメラを通して、ロボットの視界で周囲を確認。安全に渡れるタイミングを指示した。
Spaghetti Factoryに行くまでに、工事現場にも遭遇した。ロボットは注意深く前進し、掘り起こされた個所をスムーズに通り過ぎた。
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スタッフも近くから見守った。テスト期間は3年、ロボットは4.3エーカー(約1万7000平方メートル)のインテュイットの本社敷地を横切った。
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ロボットはどこへ行っても人気者だった。女の子2人を連れた家族が一緒に写真を撮影したいとスタッフに尋ねた。スマートフォンで写真を撮る人も多かった。
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スターシップによると、これまでにロボットは10万マイル(約16万キロ)を走行し、1500万人とすれ違ったが、事故は起きていない。だれかがロボットを盗もうとするとアラームが鳴る。
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これまで、ロボットは盗難行為や破壊行為にはあっていない。レストランの従業員や客による指示がないときは、ロボットにはロックがかかる。
スターシップ・テクノロジーズの共同創業者、HeinlaとFriisは、重さ約15キロのカメラを搭載したロボットを盗むことは、魅力的な話ではないとBusiness Insiderに語った。盗んだところで、手に入るのはラザニアかブリトーくらい。
デリバリー拠点を出発して約15分、Spaghetti Factoryに着いた。
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レストランのマネージャーが外に出てきて、ロボットのフタを開け、保温容器の中にテイクアウトバッグを入れた。
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デリバリー拠点に急いで戻った。お腹をすかした客がラザニアを待っていた。
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将来、ロボットは社内のカフェテリアや食堂から食べ物をピックアップし、無料で従業員のもとまで運ぶ。どこにいても。
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同社のサービスは人間の仕事を奪うと批判する人もいる。だが2人の創業者は、そうではないと語った。
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インテュイットには、フードのデリバリーサービスはない。従業員は歩いて行くか、時間がないときにはランチを諦めるしかない。
スタート以来、インテュイットの従業員はスターシップのロボットを1610件のデリバリーに使った。ロボットによるデリバリーで、彼らは1日をスタートさせている。最も一般的なデリバリーは、朝食のサンドイッチ。
Starship Technologies
[原文:Tiny self-driving robots have started delivering food on-demand in Silicon Valley — take a look]
(翻訳:まいるす・ゑびす、編集:増田隆幸)