恐竜の分類が変わるかも。研究チームが新説

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Dean Mouhtaropoulos/Getty Images

恐竜についての新事実が近年、続々と明らかになっている。

例えば、羽毛が生えていた恐竜がたくさんいたこと、恐竜絶滅の原因の1つは、卵のふ化に長い期間かかったこと冬の北極にも恐竜がいたことなどが解明された。

だが、恐竜が大きく2種類に分類されるという考え方は、この130年間変わることはなかった。子どもの頃、恐竜図鑑が大好きだった人なら、恐竜は、ステゴサウルス、トリケラトプス、ハドロサウルスなど鳥のような骨盤を持つ草食恐竜(Ornithschia)と、ブロントサウルスなどの竜脚類やティラノサウルスやヴェロキラプトルなどの獣脚類など、トカゲのような骨盤を持つ恐竜(Saurischia)に分けられることはご存知だろう。

科学雑誌Natureに発表されたマシュー・バロン(Matthew Baron)氏の論文は、この分類を全面的に見直し、恐竜の系統図を書き直す必要があると主張した。

TEDにも登場したサイエンス・ライターのエド・ヨン(Ed Yong)氏は「新しい論文を初めて読んだとき、思わず咳き込んだほどだ」と、衝撃の大きさを表現した。

現在の系統図の起源は、1888年にさかのぼる。それまで恐竜は共通の祖先を持つと考えられていたが、ハリー・シーリー(Harry Govier Seeley)氏が、恐竜の骨盤に大きな違いがあることを発見した。つまり祖先が違っていると主張したのだ。この説は広く受け入れられ、ほぼ1世紀にわたって恐竜の祖先の系統は2つあると考えられてきた。

だが、バロン氏と彼の共著者は、そのシンプルな分類にメスを入れた。彼らは74種類の恐竜を調査、457の特徴を比較し、類似点と差異を詳細に研究した。そして、骨盤の違いだけで分類するのではなく、恐竜を解剖学的な複数の視点から新たに分類し直すべきだと述べた。大腿部の形状や肩骨の長さ、顎骨の発達など遺伝的な特徴にはさまざまなパターンがあり、骨盤だけで分類できるほど単純ではないと主張した。

具体的には従来、全く違うと考えられてきた草食恐竜と、肉食恐竜の一種である獣脚類は、もともとは近い種類で時代とともに枝分かれしたと彼らは主張した。また、大型の草食性恐竜は他の草食恐竜と分けられ、初期の恐竜であるヘレラサウルスに近い種類とされた。

古い系統図(左)と新しい系統図(右)は以下のとおりだ。

恐竜の系統図

Nature, 2017

「これまで犬と猫だと思っていた動物が実はそうではなく、猫だと思っていた動物の中には犬もいたと言われたようなものだ」とヨン氏は語った。

これは非常に革新的な仮説で、古生物学の教科書が根本的に書き直される可能性を秘めている。しかし、まだ完全に受け入れられたわけではない。古生物学会が、系統図を変更すべきか否か結論を出すまでには時間が必要だ。だが、一部は変更される可能性もある。

「この説が広く受け入れられるのであれば、教科書を書き直さなければならない。これはたった1つの分析にすぎないが、非常に良くできた分析だ」とメリーランド大学の古生物学者トーマス・ホルス(Thomas Holtz)氏はNature Newsに語った。

バロン氏の研究チームの説は、ほかにも影響をおよぼす可能性がある。最初の恐竜だと言われているヘレラサウルス(我々が一般的に恐竜と呼んでいるものがいた時代よりも、前の時代に存在した)は、二足歩行の雑食動物で、腕で物をつかむことができたのではないかと彼らは述べた。

さらに驚くべきことに、今回の系統図の研究から、恐竜は南米(ゴンドワナ)ではなく北半球で生まれたのではないかとの説も浮上している。しかし、この説に関してはまだ不確かな部分も多い。

source:Universal via YouTube、Nature, 2017

[原文:A new theory could overturn one of the most central 'facts' about dinosaurs

(翻訳:まいるす・ゑびす)

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