アマゾンの配送センター。膨大な商品が並ぶ。
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アマゾンが「Diapers.com」や「Wag.com」「Soap.com」など複数のショッピングサイトを運営する子会社「Quidsi」を閉鎖するとブルームバーグが報じた。Quidsiは従業員1100人を抱えている。
アマゾンは2010年、Quidsiを5億4500万ドル(約607億円)で買収。発表文の中でアマゾンは、子会社の閉鎖は単純に利益が上がらなかったためとしている。
Quidsiが提供する商品はAmazon.comが引き取り、プログラマーたちはAmazonFreshの食料品サービスに携わることになる。ロイターの報道によると、今回の閉鎖に伴い、アマゾンは263人のレイオフを実施するという。
アマゾンのCEO ジェフ・べゾス氏と、Quidsiの創業者で、最近ではウォルマートのアメリカ国内コマース担当幹部を務めるマーク・ロアー(Marc Lore)氏との関係も注目される。
アマゾンのQuidsi買収をめぐっては、ロアー氏側とべゾス氏側の間で激しい価格交渉があった。資金調達がうまくいかず、ロアー氏はQuidsiをアマゾンに売却。ロアー氏と共同創業者であるバイニット・バハララ(Vinit Bharara)氏はこの交渉の結果、多額の資金を得たが、契約上定められた期間を過ぎて間もなく、2013年にアマゾンを去った。
ショッピングサイト「Jet.com」「Quidsi」の創業者マーク・ロアー氏
Jet
その後、ロアー氏はイノベーション面でアマゾンを超えるという目標を掲げ、ショッピングサイト「Jet.com」を創業。同社は2億2500万ドルを調達したものの、2016年8月にウォルマートに30億ドルで買収される前から、資金難に陥っていると言われていた。
リテールやコマース分野で急速に業績を伸ばすアマゾンから、沈みかけたウォルマートを守るというロアー氏の現在の役割は、べゾス氏と再び対立するものだ。そしてアマゾンによるQuidsiの閉鎖が、ビジネス上、理にかなったものであったとしても、ロアー氏の目には彼が作った企業をつぶされたと映るだろう。
Quidsiの閉鎖についてのアマゾンのコメントは以下のとおり。
「Quidsiの収益性を上げるため、我々は過去7年間努力を重ねてきたが、残念ながら達成できなかった。Quidsiの特色ある商品はAmazon.comで引き続き提供される。同社のソフトウエア開発チームは今後、AmazonFreshの技術開発に携わることになる」
(翻訳:山口佳美)