バクテリアの結合力を利用したワクチンのための「接着剤」を開発 —— グーグルがオックスフォード大学発ベンチャーに投資

ワクチンの写真

スパイバイオテックは、より効果の高いワクチン開発に利用できると考えられる「生物学上の発見」の商品化を目指す(写真は記事の内容とは関係ありません)。

Alex Wong/Getty Images

GV(旧ブランド名:グーグル・ベンチャーズ)は、英オックスフォード大学発のベンチャーで、ワクチン開発に役立つ「バイオテクノロジーによる『接着剤』」を商品化するスパイバイオテック(SpyBiotech)の400万ポンド(約5億5767万円)の資金調達ラウンドに参加した。

スパイバイオテックは、より効果の高いワクチン開発に利用できると考えられる「生物学上の発見」の商品化を目指す。オックスフォード大学の生物化学科(Department of Biochemistry)とジェンナー研究所(Jenner Institute)が行った連鎖球菌性咽頭炎の原因となるバクテリアを分離する研究で、バクテリアが分離される際、再び結合しようとする力の強い2つのパーツを発見(SpyBiotechのSpyは化膿性レンサ球菌[ストレプトコッカス・ピオゲネス:Streptococcus pyogenes]の短縮。情報部員、工作員の意味ではない)。この結合力を「バイオテクノロジーによる『接着剤』」として利用しようと考えているのが、スパイバイオテックだ。

オックスフォード大学ジェンナー研究所の准教授スミ・ビスワズ(Sumi Biswas)氏は「この『接着剤』は、世界の主要な病に対する効果的なワクチン開発のスピードを速める革新的な技術となるだろう。汎用性が高く、イノベーティブなこのアプローチによって、これから新しいワクチンが研究室から臨床試験へ進んでいくことを楽しみにしている」とコメント。ビスワズ氏は、スパイバイオテックの創業に携わったオックスフォード大学の4人の研究者のうちの1人だ。

グーグルの親会社アルファベットのVC部門であるGVは、スパイバイオテックの他にも数多くのバイオテクノロジー企業に投資している。スタートアップに関するデータベースを提供しているCrunchbaseによると、GVはイギリスに拠点を置く「ケンブリッジ・エピジェネティクス(Cambridge Epigenetix)」やアイルランドの「キャリック・セラピューティクス(Carrick Therapeutics)」を含む19のバイオテクノロジー企業に投資している。

GVのジェネラル・パートナーであるトム・ハルム(Tom Hulme)氏はスパイバイオテックへの投資について「より効果的なワクチン開発のため、ワクチンのデザインから臨床試験に至るまで、ワクチン開発における経験豊富な世界的な科学者たちと仕事ができることを楽しみにしている」とコメントした。

[原文:Google's venture capital arm has backed a startup spun out of Oxford that is developing 'biotech superglue'

(翻訳:山口佳美)

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