世界有数の資産運用会社ブラックロック、投資判断へのロボット活用を強化

ブラックロックのCEOローレンス・フィンク氏

ブラックロックのCEOローレンス・フィンク氏。アクティブ運用は、高額な手数料が批判にさらされている。

REUTERS/Toru Hanai

世界有数の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)は手数料の大幅値下げを含む根本的な事業改革を行い、投資判断におけるコンピュータ活用に注力することを発表した。事業環境の大きな変化に対応した動きだ。

5兆1000億ドル(約570兆円)に上る運用資産残高を持つ同社は28日火曜日(現地時間)、以下の施策を発表した。

  • アクティブ運用ファンドの一部で総額3000万ドルもの手数料値下げを実施
  • データサイエンスを重視。クオンツ運用(統計・計量的手法)およびインデックス(株価指数連動型)運用の両方で強化が求められていると同社は位置づけている。さらに、9つのクオンツ運用型投資信託を追加し、従来の個別銘柄選別型ファンドのいくつかを廃止する予定だ。

高額手数料時代の終わり

ファンドマネジャーが個別の銘柄を選び、高いリターンを狙って運用するアクティブ運用は、高額な手数料が批判にさらされている。近年、高いリターンではなく、確実に市場のインデックスに追従することのみを重視するパッシブ運用の人気が高まっていることも、その大きな原因だ。

長らく市場を上回る実績を上げてきた同社は方針を決めかねてきたが、ついに多くの顧客の要請を受け入れた。クレディ・スイスによる調査報告書は以下のように述べた。

この変化は、大規模な株式投資ビジネスにおいて、人間による株式銘柄選定手法の信用力低下を反映したものだ。個人投資家向けの商品として、より低価格なパッシブ運用に対抗するためには、50〜80bps(basis point=0.01%)もの運用手数料をとるアクティブ運用ファンドの価格調整は必須だろう。

クレディ・スイスによるとブラックロックは5年前に実施した施策について、いまやその有効性を疑問視している。ブラックロックは2012年、トップクラスのアクティブ運用マネジャーを競合企業から引き抜き、80%のファンドマネジャーを入れ替えた。

ジョン・ボーグル氏

ジョン・ボーグル(John Bogle)氏も、長らくアクティブ運用の問題点を批判してきた。

REUTERS/Tim Shaffer

しかし今、同社は「アクティブ運用をパッシブ運用と比較した際に、高額な手数料に見合うだけのパフォーマンスを一貫して出しているのか」について懐疑的になっている。

「ファンドマネジャーのパフォーマンスを平均すると、定期的に上下を繰り返していることが過去のデータから判明した。つまり過去5年間に好成績を残したマネジャーが、そのまま次の5年間、好成績をあげる可能性は低い」

パッシブ投資の大手ヴァンガード(Vanguard)の創業者ジョン・ボーグル(John Bogle)氏も、長らくアクティブ運用の問題点を批判してきた。ボグル氏は今年始めに、アクティブ運用はパッシブ運用を上回ることはできないだろうとBusiness Insiderに語った

「顧客が彼らに金を支払うのは市場に勝つためだ。なのに彼らは勝っていない。これでは理屈が通らない」

データとクオンツ

不調が続くアクティブ運用部門を、データ活用で挽回する意向を昨年表明していたブラックロックは、28日、全世界から収集したデータを統合し、全てのアクティブ運用チームで共有する計画を発表した。

同社はまた、クオンツ運用チームによる9つの投資信託の新設計画も明らかにした。これらの動きは、市場に勝つために個人の株式銘柄選別能力には頼らず、コンピュータを活用するという戦略を示している。

業界のアクティブ運用マネジャーたちは皆、市場や競合を出し抜くために欠かせない最新かつ価値ある独自データを手に入れようと、有能なデータサイエンティストにアプローチしている。特にヘッジファンドは「オルタナティブ・データ」と呼ばれる、わたしたちが日々使っているスマートフォンから収集されたアプリ利用歴、オンライン購入歴、GPS位置情報などのデータの活用を始めている。

こうした情報は投資銘柄を判断する材料となり、さらに株価変動の予測、収益見込み、株価急落の前兆などを得るためにも使われている。

ダニエル・ローブ(Dan Loeb)氏はヘッジファンド業界で名の知られた人物だが、彼も投資家へ宛てた文書で、「個別銘柄取引においても、競争力を確保するために膨大なデータの分析能力がますます重要になってきている」と、最近の業界トレンドについて触れた。

[原文:The world's largest fund manager just sent a message to investors everywhere(BLK)

(翻訳:太田禎一)

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