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ベトナムは第4四半期にGDP成長率で+6.3%となる—— 。来週中(編集部注:2017年1月)に公表されるデータで予想されている。
2012年以降の成長率が初めて減速し、グエン・スアン・フック(Nguyen Tan Dung)首相が期待していた+7%の成長率を下回るかもしれないのだ。
この減速は、過去100年近くで最悪の干魃が影響を及ぼしている。Capital Economicsは、(成長率が回復する可能性は高いものの)ベトナムの緩やかな金融政策は「次の経済危機の種」となる可能性があるとする。 Capital Economics アジア部シニアエコノミストのガレス・レザー(Gareth Leather)氏は、2016年までにベトナムの民間部門への貸付が20%近く順調に伸びていくと予測。しかし、彼が顧客に送った資料には「急増する貸付の規模は長期的には安定しない」と書かれている。不良債権の急激な増加は避けられない。
Capital Economics
さらに、2011年の経済危機からいまだに銀行システムが回復していない。ベトナムの国営輸送会社のVinashinが倒産した時だ。
ベトナム経済の妨げになるのはこれだけではない。 Credit Suisseによると、同国の輸出は2000年から2016年にかけて平均12%から14%の伸びを示しているが、2016年の最初の11カ月間ではたったの+7.5%にとどまった。また環太平洋経済連携協定(TPP)で期待されていた景気の後押しは、ドナルド・トランプ次期大統領(編集部注:当時)の米国は辞退するという発言から、おそらく当初ほど強くないだろう。 Credit Suisseのアジア部シニアエコノミストのディファリ・バルガバ(Deepali Bhargava)氏は、米国の政策の変化がベトナム経済に3つのリスクをもたらすと述べる。 まず、ベトナム通貨のドンは来年までに4〜5%下落する可能性が高い。
次に、世界的な投資の失速が同国の貿易に重荷を与える可能性が高い。
最後に、TPPの活動停止で改革が遅れるリスクがある。
しかし、これらの逆風にもかかわらず、Capital EconomicsとCredit Suisseは、2017年のベトナム経済はまだまだ堅実な年になると考える。 前者は2017年の成長率は+7%と期待している一方で、後者は成長率+6.2%を予想する。
「農業所得の回復による堅調な輸出の伸びと民間消費の加速は、政府の支出の減退と貸付の伸びが減速する可能性を相殺するだろう」とバルガバ氏は語った。
[原文:Vietnam could be 'sowing the seeds of the next crisis']
(翻訳:梅本了平)