古いモノクロ写真をカラーによみがえらせるブラジル人アーティスト

ブラジル人アーティストのマリナ・アマラウ(Marina Amaral)は、モノクロ写真をカラーにする素晴らしい才能を持っている。歴史を愛する彼女は、写真のコンテクストを忠実に再現しようとしている。念入りなリサーチと数カ月に及ぶフォトショップ作業が必要なこの仕事は、とても骨が折れるという。

子どもと犬

Marina Amaral

21歳のアマラウが創作意欲をそそられるのは、激しい感情を呼び起こす紛争の写真だが、歴史上の著名な人物たちにも、生命の息吹を吹き込んでいる。印象的な作品のいくつかを見てみよう。

「小さい頃から歴史に魅了されていました」と語るアマラウ。あるインターネット掲示板で、歴史的な写真をカラー加工した作品に出会い、「これはすぐにやらなくちゃと思った」と言う。いまや趣味が仕事になった。

エイブラハム・リンカーン

エイブラハム・リンカーン

Marina Amaral


最初に取り組んだのは、アメリカ南北戦争の兵士の写真。初めての試みは「本当に大変だった」が、作品が仕上がったときは「誇らしさを感じた」と言う。「わたしは好奇心旺盛で想像力豊かなの」

横たわる兵士

ペンシルベニア州・ゲティスバーグに横たわる兵士

Marina Amaral


アマラウは、細部に至るまでフォトショップを使った手作業で色付けしていく。何百もの色の層によって彼女のイメージする雰囲気が作り出される。

ウィンストン・チャーチル

ウィンストン・チャーチル

Marina Amaral


「リサーチは欠かせません。作業に取り掛かる前には必ず、できる限り多くの情報を集めます。それによって、歴史的に正しい色が出せるのです」

マーティン・ルーサー・キング牧師

マーティン・ルーサー・キング牧師

Marina Amaral


写真の加工は40分で終わるものから、数カ月を要するものまである。「写真によって複雑さや細かさのレベルが異なり、それによって加工にかかる時間が変わるのです」とアマラウは言う。

インド人兵士と挨拶をする子ども

1914年、第一次世界大戦の最中、マルセイユで連合軍を支援しているインド人兵士に挨拶をするフランス人の男の子

Marina Amaral


中でもアマラウは紛争の写真に惹かれている。彼女の傑出した作品のいくつかは、戦争の最前線にいる兵士たちを写したものだ。第一次世界大戦中、塹壕に潜むイギリス人兵士や……

塹壕から出てくる兵士たち

Marina Amaral


1944年のワルシャワ蜂起……

銃を持ち、物陰から様子を伺う男たち

Marina Amaral


1944年のノルマンディー上陸作戦で負傷したアメリカ兵……

負傷した兵士が海岸に引き上げられる様子

Marina Amaral


そして、1870年の普仏戦争のフランス人兵士たちだ。

大砲の周りでくつろぐ兵士たち

Marina Amaral


自身の作品の中でも、アマラウが最もパワフルな作品だと考える写真がこれだ。1942年、ポーランドの14歳の少女は母親とともにナチスの強制収容所・アウシュヴィッツに連行された。2人とも3カ月以内に亡くなった。

アウシュヴィッツに収容された際に撮影されたと思われる少女の写真

Marina Amaral

「この写真をカラーで見て初めて本当の意味でホロコーストを理解することができたと、毎日多くの人からメッセージをもらいます。それこそがわたしの目指すゴールであり、本当に誇りに思います」

しかし彼女の作品テーマは戦争や残虐行為ばかりではない。アマラウは歴史に名を遺した人々の写真に新しい命を吹き込むことも楽しんでいる。これは1957年に撮影された若き日のジョン・F・ケネディだ。

ジョン・F・ケネディ

Marina Amaral


そのケネディを殺害したリー・ハーヴェイ・オズワルド。

リー・ハーヴェイ・オズワルド

Marina Amaral


偉大な科学者たち:アルバート・アインシュタインにジークムント・フロイト、そしてアレクサンダー・グラハム・ベル。

偉大な科学者たちの3ショット

Marina Amaral


アメリカ史上最も偉大な発明家と称されるトーマス・エジソンはくつろいだ様子だ。

葉巻を加えてくつろぐエジソン

Marina Amaral


アマラウはハリウッドのヒーローたちも手掛けている。ジェームス・ディーンは何度も扱った。若かりし頃のグレース・ケリーやデビー・レイノルズも、鮮やかによみがえらせた。

ハリウッドのスターたち

Marina Amaral


銀幕に登場する王族から本物の王妃まで:これは14歳の時のエリザベス女王だ。

若かりし頃のエリザベス女王

Marina Amaral


アマラウは、ニューヨークのセントラルパークの水飲み場に集まる家族のような普通の人々にもスポットライトを当てている。

水飲み場に集まる家族

Marina Amaral

彼女の仕事の多くは個人からの依頼だが、そのうちの1つは特に印象に残るものだった。

「ある女性の息子さんに頼まれ、彼女の両親の写真をカラーにしました。その後、私が加工した写真を女性が受け取っている様子をビデオで見ました」

「その写真は、息子さんから母親へのクリスマスプレゼントだったのです。彼女は写真を見て涙を流しました。私もそのビデオを見て泣いてしまいました」

「仕事を通して人々にこんなにも大きな喜びを与えることができたのだと実感すると、本当に特別な気持ちになります。特に家族写真を手掛けているときは、それが彼らにとってどんなに大切なものかが伝わってくるのです」

アマラウは出版社や雑誌、テレビ局、美術館や博物館などからの仕事も請けている。「それぞれ切り口の違う、異なるタイプの写真が必要なので、さまざまな分野の人たちと仕事をするのはとても楽しいです」

たくさんの人でにぎわう桟橋

1890年から1910年頃に撮影されたニューヨークのバナナ桟橋

Marina Amaral


そしてこれがアマラウ自身の写真。彼女の夢は古代エジプトの姿を復元することだと言う。しかし、それをフォトショップでやるには、才能あるブラジル人アーティストにとってもかなり難しいチャレンジかもしれない。

アマラウ本人

Marina Amaral


アマラウのその他の作品は、こちら

(敬称略)

[原文: These historical black-and-white photos have been transformed into colour masterpieces by a 21-year-old Brazilian artist

(翻訳:時田)

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