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デロイト(Deloitte)の調査によると、イギリス大手企業のCFO(最高財務責任者)でブレグジット(イギリスのEU離脱)後にビジネス環境が良くなると考えている担当者は19%しかいない。
調査にはFTSE 350(ロンドン証券取引所の上位350銘柄)企業でCFOを務める130人が回答。イギリスが正式にEUを離脱すると「ビジネス環境は悪化する」と考えるCFOは60%に上った。
ただし、「悪化」と答えた割合は、前四半期の66%から6ポイント減少している。
ブレグジットは依然としてCFOたちにとって最大のリスクだが、2016年第4四半期に比べると楽観的な見方が増えつつある。
CFOたちはブレグジットのリスク度合いを、0〜100の尺度の中で「55」と評価。数値は前四半期の「62」から低下した。
自社の見通しについて「3カ月前よりも楽観的」と答えたCFOは、3分の1をわずかに下回ったが、国民投票直後の27%からは3ポイント上昇した。デロイトによるとこの数字は、楽観的と答えたCFOが35%だった2015年第2四半期以降で最も高い数字だ。
テリーザ・メイ首相が先月、ブレグジットについての交渉戦略を発表し、ブレグジットを発動させるリスボン条約第50条の公式書簡に署名した後、市場への信頼は回復しつつある。ビジネスの先行きに「高い」もしくは「非常に高い」レベルの不安を感じるとしたCFOは34%となり、前四半期の50%から低下した。
デロイトのCEOデイビッド・スプロール(David Sproul)氏は以下のように述べた。
「イギリスのEU離脱は、長く不確定なプロセスであり、企業の景況感は変わりやすい。しかし、この調査で明らかになったように、イギリス企業は昨年の国民投票後の数カ月間の状態に比べて、はるかに良い雰囲気でブレグジットの交渉段階を迎えている」
「我々を含めた多くの企業が直面している最も差し迫った課題は、優れたスキルを持つ人材の確保だ。人材の流動性については、貿易と同程度の高い優先度を持って今後の交渉に臨むべきだと考えている。もし我々が開かれた、繁栄した経済大国としての地位を維持しようとするのであれば、スキルの多様性を保持しなくてはならない」
テリーザ・メイ首相は、イギリスが単一の欧州市場から脱却する意向を明示した。これにより、単一パスポート制度(金融機関が域内の他国でも業務を展開できる制度)とEU域内を自由に移動する権利を失う可能性もある。
[原文:DELOITTE: Just one in 5 UK financial chiefs think Brexit will be good for business]
(翻訳:Wizr)