2017年11月、インテルCEOが同社株式を大量に売却していた事実が憶測を呼んでいる。
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- インテルCEOブライアン・クルザニッチ(Brian Krzanich)氏は2017年11月、2400万ドル(約27億円)相当の同社株式を売却していた。
- 売却はインテルがグーグルから同社チップの脆弱性を知らされた後に行われた。脆弱性は今週、公になった。
- インテルは、株式売却は脆弱性の問題とは無関係、予定された売却プランの一環として行われたと述べた。だがクルザニッチ氏が売却プランを整備したのは2017年10月。これはインテルが脆弱性を認識した数カ月後のことになる。
インテルCEOブライアン・クルザニッチ氏は保有する同社株の大半を、グーグルから同社のプロセッサーについての重大な脆弱性を知らされた後に売却した。売却は脆弱性が公になる前のことだ。
脆弱性は、インテル、AMD、ARMのプロセッサーに関連し、悪意を持ったハッカーによってパスワードや重大なデータが盗まれる可能性がある。脆弱性は今週、公になった。
脆弱性が明らかになったことで、インテルやマイクロソフトといったプロセッサーメーカー、OSメーカーは対策に最優先で取り組んでいる。
だが我々がこの問題を認識する一方で、テック企業はこの問題を数カ月に認識していた。実際、グーグルは6月、インテルにこの脆弱性を知らせていた。それについては、インテルの広報担当者はBusiness Insiderに文書で認めている。
つまり、インテルは同社CEOクルザニッチ氏が保有株の大部分を売却する以前に、この問題を把握していたことになる。クルザニッチ氏は11月29日、保有する株式の売却とストックオプションの行使により、2400万ドル(約27億円)を手にしている。
株式の売却は大きな注目を集めた。だが、売却は今となってはより精査されるべきだろう。脆弱性の存在と、そしてインテルがいつこの問題を認識したかが問題だ。
SEC(アメリカ証券取引委員会)の広報担当者は、今回の株式売却について調査を行うのか否かについて、コメントを拒否した。
売却は事前に計画されたものとインテル —— だが計画はプロセッサーの脆弱性を認識した後に整備された
インテルの広報担当者は文書で、CEOクルザニッチ氏の株式売却は今回明らかになったプロセッサーの脆弱性とは無関係で、通常の売却計画の一環として行われたと述べた。
「CEOの株式売却は今回の問題とは無関係。CEOは社の規定に則って、引き続き、当社株式を保有している」と同社広報担当者は文書で述べた。
インサイダー取り引きの疑いを避けるために、企業のエグゼクティブは保有株の売却、あるいはストックオプションの行使を事前に定められたスケジュールに則って行う。SECの文書によると、クルザニッチ氏が11月に売却した株式は、 同社の株式24万5743株とストックオプションで得た64万4135株。これらは売却プランに則って売却された。
クルザニッチ氏は、文書によると10月30日に売却計画を整備した。だが時系列から疑問が生じる。つまり、同氏の株式売却とインテルの承認、そして同社が6月にプロセッサーの脆弱性を認識していた点だ。
脆弱性が明らかになったことで、インテルの株価は1月3日、1ドル59セント、3.4%下落し、45ドル26セントとなった。
[原文:Intel was aware of the chip vulnerability when its CEO sold off $24 million in company stock]
(翻訳/編集:増田隆幸)