マイクロソフトの共同創業者、ビル・ゲイツ氏。
Eric Vidal/Reuters
- 雑誌『タイム(Time)』の最新号で、テック界のビリオネアであるビル・ゲイツ氏は、データは、世界が悪くなっているのではなく、良くなっていることを示していると述べている。
- だが、実際はその反対の認識が広がっており、ゲイツ氏は背景の1つに、ネガティブな話ばかりに注目するニュースメディアの存在を挙げる。
- 論説の寄稿に加え、ゲイツ氏はタイムの最新号をゲストエディターとして編集、ポジティブなニュースでまとめた。
多発するハリケーンや銃の乱射事件、核戦争の影が差す中、世界で最も裕福な男がわたしたちを励まそうとしている。
彼が言うには、世界は事実、良い方向へ進んでいる。
タイム誌の論説記事で、ビル・ゲイツ氏は多くのトレンド —— 乳幼児死亡率から、同性愛者の権利を守る国の数に至るまで —— が、ポジティブな方向に向かっていると述べた。耳慣れないかもしれないが、それは我々がネガティブなニュースに注目しがちなためだ、と。
「こうしたひどい出来事も、より大きな、ポジティブな流れの中で起きている」ゲイツ氏は書いている。「全体としては、世界は良い方向へ進んでいる」
ゲイツ氏が指摘する変化は、以下のとおりだ。
- 5歳未満の乳幼児死亡率の大幅な低下。1990年から半減しており、1億2200万人の子どもの命が救われた。
- 極度の貧困の中で生活する人々の割合の劇的な低下。1990年には世界の人口の3分の1以上を占めていたが、今日では約10分の1まで減っている。
- 世界で、初等教育を受ける子どもの数が大幅に増加。今では全体の90%以上が小学校に通っている。
- 同性愛者の権利を守る法律が、現在100カ国で発効している。
- 世界各地で公職に選出される女性の数が増加している。
ゲイツ氏は、悲観主義を広めているのはメディアだと非難している。人々は悪いニュースを読みがちなため、これが報道機関のネガティブな報道への集中を助長していると主張する。
タイム誌はゲイツ氏に、論説の寄稿に加えて、最新号のゲストエディターとして編集を依頼。同氏はこの機会を生かし、誌面をポジティブなニュースで埋めた。この最新号には、将来を楽観視するゲイツ氏の友人のエッセイも盛り込まれている。
バークシャー・ハサウェイのCEOウォーレン・バフェット氏は、アメリカ人の生活水準が引き続き「何世代にもわたって」向上すると主張している。バイオジェン(Biogen)のバイスプレジデント、サマンサ・バッド・ヘーベルライン(Samantha Budd Haeberlein)氏は、同社によるアルツハイマー病の治療薬の開発は近いと書いている。
一方で、U2のフロントマンであるボノ(Bono)氏は、女性に対する蔑視や暴力と、ともに戦う必要性を多くの男性が理解し始めているとの考えを示している。
「男性は後ずさりすることはできないし、(ドイツの)メルケル首相やマララ氏といった、女性だけに負わせることはできない —— 我々が作った、いまだ作り続けているこの混乱を一掃しなければ」
[原文:Bill Gates: Trust me, the world is really getting better, not worse]
(翻訳:本田直子/編集:山口佳美)