イタンジはビットコインで不動産の売買ができるサービスを始めた。
出典:イタンジ
2017年に爆発的な急騰を見せた後、160〜200万円のレンジで価格調整局面を迎えているビットコイン。国内外に一定のビットコイン資産を持つ人たちが増えている一方、その使い道は実際にはあまり多くない。
そんなビットコイン資産をターゲットに、不動産テックのベンチャー「イタンジ」が1月10日、仮想通貨で不動産の売買ができる新サービス「HEYAZINE COIN(ヘヤジンコイン)」を開始する。同社によると、仮想通貨による不動産売買のサービスは日本初。現時点では、対象通貨はビットコインで、7物件を取り扱っている。同社は、2018年9月までに物件掲載数を1000件、取引数300件を目指している。
ヘヤジンコインは、物件の売買、仲介手数料などの経費をビットコインで決済し、物件を購入できるプラットフォーム。仮想通貨の相場と不動産市場のデータから構築した独自のアルゴリズムで、最適な売却価格を表示する。
物件の紹介ページには、日本円価格とレートを反映したビットコイン価格を表示し、購入時は引き渡し時のレートが適用される。仮想通貨の決済と物件の受け渡しはイタンジがサポートする。
ヘヤジンコインの物件紹介ページのイメージ。
出典:イタンジ
イタンジは2012年6月の創業時から、不動産の仲介業務を自動化するシステムなどを提供。2017年3月、KDDIと不動産サービス「いちご」と資本・業務提携をしている。
今回のサービス開始について、イタンジの担当者は「不動産取引業務の知見とブロックチェーンを活用する研究開発能力のあるイタンジにとって、最適な参入経路。仮想通貨市場が大きく成長している背景から、資産としての行き先が用意されるニーズを捉えている」と話し、「ニーズを持った仮想通貨保有者と不動産保有者に受け入れられるサービス」と語った。
将来的には、ビットコイン以外の仮想通貨も決済の対象にするだけでなく、「ICOやトレードも見据えた仮想通貨REIT市場の構築運営を視野に入れている」と意気込む。
ヘヤジンコインのサービスにより、ビットコインで物件売買ができる対象の物件。イメージ図のため、物件名に重複あり。
出典:イタンジ
「ビットコイン+不動産事業」国内の動き
国内では、2017年11月にJITホールディングスが、ビットコインやイーサリアムで不動産「購入」ができるサービス開始のリリースを配信している。
一方、イタンジの「ヘヤジンコイン」が「初」なのは、購入だけでなくビットコインでの「売却」もできる点だ。
サービス開始時点では7物件という取り扱い物件は少ないが、イタンジによると、サービス開始時期を優先したため大手不動産会社には声を掛けていないと語る。不動産売買サービスにとって掲載物件数は「仕入れ」にあたるが、その売り主側が「仮想通貨で売買したい」というニーズについては「今のところ読めていない。リリースの反響によって、対応を考えたい」と話す。今後はターゲットを絞って、メディアで広告を掲載するなど、売り主にアプローチしていくという。
(文・木許はるみ)