筆者の持つSIMフリースマホ「Moto Z」に届いた緊急地震速報(警報後に撮影)
2018年1月5日11時2分、茨城県沖を震源地としたマグニチュード4.4の地震が発生した。茨城県神栖市溝口では最大で震度3を記録したが、幸いにも津波の発生もなく大きな被害も出ていない。
Twitterの反響を見ると、都内近郊の各所にいた人たちの、特に格安スマホや、仮想通信事業者(MVNO)の提供する「格安SIM」のユーザーの間で「自分のスマホが鳴った!」と話題にしている投稿を複数見かけた。確かに、格安SIMでは北朝鮮のミサイル発射などの際にも話題となった「Jアラート(全国瞬時警報システム)」が届かない場合もある。
なぜ今回の地震ではスマホが「緊急地震速報」を鳴らせたのか? それには理由がある。
格安スマホでも「地震」「津波」の警報は受け取れる
緊急地震速報受信直後の画面
渋谷区にあるBusiness Insider Japan編集部でも「楽天モバイル」「UQ mobile」「IIJmio」で契約したSIMカードを挿入済みのSIMフリースマホに、緊急地震速報は届いた。
緊急地震速報は、実はJアラートとは別の信号を使って発信されている。ある程度新しいSIMフリースマホはこの信号に対応しているため、緊急地震速報の表示ができたわけだ。
もう少し突っ込んだ話をすると、日本ではETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)という国際的なLTE標準規格の方式で、各種警報が発信されている。IIJmioを運営するIIJのエンジニアブログによると、地震、津波の情報はETWS内でどのメッセージID(どの目印で発信すべきか)を用いて発信すべきか定義されている。一方、Jアラートはなぜ格安SIMでは受信できないか? 同ブログでは、各キャリアの独自実装によるものだと説明している(2018年現在3キャリアの提供する「エリアメール」「緊急速報メール」を受け取るには、各キャリアのアプリが必要)。
最近のiPhoneならJアラートも表示できる
ちなみに、これらの問題は最新安定版である8.1を除くAndroid搭載のSIMフリースマホが対象だ。電気通信事業者協会によれば、Android 8.1ではエリアメールと緊急速報メールをキャリアの独自アプリなしで表示できるという。とはいえ、現状日本でAndroid 8.1を適用して使えるスマホは、グーグルの「Nexus 5X」「Nexus 6P」のみとなる。
一方、アップルのiPhoneシリーズの場合はわかりやすく、「iPhone 5s/5c」以降であれば基本的には問題なく受信し、表示できる。
もし手持ちのスマホが対応していないという人は、各種警報が受け取れるアプリを使う方法もある。例えば「Yahoo!防災速報」(無料、iPhone/Android)などは特にメジャーなアプリの1つだ。
(文、撮影・小林優多郎)