小売業の崩壊は想像以上に深刻だった —— 見落とされていたもう1つの兆候とは

崩壊するモール

ショッピングモールの経営者にとって、シアーズのような中核となる大型店舗の閉店は、他のテナントに比べ、収益に及ぼす影響が少ない。

AP/Charlie Riedel

  • アメリカでは、これまでにないペースで小売店の閉店が相次いでいる。
  • 一部業者は自ら店を閉める代わりに、賃貸契約の期限切れを待っている。こうしてなくなった店舗の数は、閉店数には数えられない。
  • つまり、これまでに考えられていた以上に「小売業の崩壊」は深刻である可能性が高い。

アメリカの国内各地で小売店の閉店が相次ぐ中、「小売業の崩壊」の兆候の1つが見落とされてきた。多くのブランドが決算発表やプレスリリースで店舗の閉店を発表する一方、一部業者は賃貸契約の期限切れを待って、静かに店舗を撤退させている。不動産コンサルティング企業グリーン・ストリート・アドバイザース(Green Street Advisors)の最新レポートによると、2017年に閉店したテナント店の数は2468店舗だが、このうち979店舗については親ブランドによる発表がなかった。このテナント店には、モールの中核となるデパートやフードコート、売店をのぞく、ショッピングモールに出店している全ての店舗が含まれている。

同レポートはアメリカ国内最大規模を誇る25のモールに注目、これまで店舗の閉店について発表していない小売業が2017年、その店舗数を減らしていることを発見した。グリーティングカードで知られるホールマーク(Hallmark)は101店舗を、子ども用の靴を販売するストライド・ライト(Stride Rite)は160店舗を撤退させている。

ただし、ブルームバーグが報道したデータによると、エアロポステール(Aeropostale)やウェットシール(Wet Seal)、リミテッド(The Limited)のように、店舗の閉店については公表をする企業の方が多い。

テナント店は、モールの中核となる大型店舗に比べ、売り場面積は狭いが、賃料は割高だ。こうした店舗から得られる利益が、モールの経営者の利益の大部分を占めている。だが、それでも賃料は安いため、テナント店が賃貸契約が切れた後に店舗を撤退させるのは比較的容易だ。

もちろん、全てのショッピングモールが苦戦しているわけではない。うまくいっているモールには、うまくいっている店舗 —— 発表しているかどうかにかかわらず、閉店数が少ない —— が入っている。

Business Insiderが2017年の各社の発表をまとめたところ、約8000店舗がすでに閉店、もしくは今後閉店する見込みであることが分かっている

[原文:The mall crisis is secretly morphing into a full-on Armageddon]

(翻訳/編集:山口佳美)

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