マネーフォワードがアジア進出、インドネシアで出資 —— 仮想通貨事業登録も検討

創業からわずか5年、2017年9月に株式上場を果たしたマネーフォワード(Money Forward)。自動家計簿や資産管理、法人向けのクラウド会計サービスなどを手がけるフィンテック企業は2018年、事業拡大の勢いを一段と強めていく。

マネーフォワード・辻庸介社長

マネーフォワードは、同社初となる海外企業との資本業務提携を結んだ(写真は辻庸介社長、撮影は2017年9月)。

撮影:渡部幸和

新規株式公開(IPO)の約3カ月前に企業間・後払い決済サービスを展開する子会社「MF KESSAI」を立ち上げると、9月にはモバイル貯金アプリの「しらたま」をリリース。11月には同社にとって初めてとなる企業買収を行い、クラウド型・自動記帳サービスのクラビス(本社:東京新宿区)の全株式を取得した。

インドネシアにクラウド型プラットフォームを

そして2018年はいよいよ海外に進出する。1月、インドネシアでクラウド会計サービス「Sleekr(スリーカー)」を展開するSLEEKR PTE. LTDへの出資を発表し、東南アジア市場での事業拡大を狙う。さらに2017年12月に新設を発表した「MFブロックチェーン・仮想通貨ラボ」が中心となり、2018年中にもブロックチェーンを活用した事業を開発していく。辻庸介社長が、Business Insider Japanの取材で明らかにした。

マネーフォワードはこれまでに、ロボアドバイザー「THEO」のお金のデザイン、クラウドファンディングのCAMPFIRELIFULL Social Funding、eコマースのBASEの国内4社に出資し、資本・業務提携を結んできた。SLEEKRとの資本・業務提携は同社初の海外企業案件となる。今後、辻氏自らがSLEEKRの取締役となり、マネーフォワードとSLEEKRは人口2億6000万人のインドネシアでクラウド型ビジネスプラットフォームを作り上げていく。

ジャカルタのビジネス街

マネーフォワードとSLEEKRは人口2億6000万人のインドネシアでクラウド型ビジネスプラットフォームを作り上げていく(写真はジャカルタのビジネス街)。

REUTERS/Beawiharta Beawiharta

SLEEKRを含む国内外5社への出資総額は数億円程度だが、マネーフォワードは社内に「マネーフォワードファンド」と名付けたプロジェクトを作り、今後さらに国内外のフィンテック(金融✖️テクノロジー)企業や*SaaS企業(Software as a Service=サース)への投資と提携を拡大していく

SaaS:ユーザーがソフトウェアを直接導入するのではなく、インターネットなどを経由して提供する企業が稼働するサービスを利用すること。

「結局、フィンテックのサービスは国境を超えていくんですよね。これからは特に東南アジアで案件が多くなると思いますが、北米もやりたいです」と辻氏は語る。「アメリカではフィンテックで先を行く企業はありますが、PFM(Personal Financial Management=個人資産管理)の分野でわれわれは世界の先頭集団に入っていると思います。地域を問わずチャンスがあればやっていきたいですね」と意欲的だ。

ブロックチェーン活用事業、仮想通貨事業者登録を検討

一方、ビットコインを筆頭とする仮想通貨や分散型ネットワークのブロックチェーンの利用拡大は、全世界で期待されている。国内では、仮想通貨取引所を運営するビットフライヤーが上場の準備を進める一方、2017年11月に金融サービス子会社の「メルペイ」を設立したフリマアプリのメルカリは、年内に仮想通貨での決済を始めると報じられるほどだ。

辻氏によると、マネーフォワードはブロックチェーンなどを活用したサービスを2018年中に作り上げていく方針だ。同社は、金融庁への仮想通貨事業者登録も検討しているという。

仮想通貨イメージ画像

辻社長は、「金融×テクノロジーの分野で、(ブロックチェーンを活用して)決済や送金、融資などのエリアでサービスを作ることができるんじゃないか」と語る。

REUTERS/Dado Ruvic

辻氏は、「僕はブロックチェーンの技術はインターネットが始まった時と同じインパクトがあると思っています」とした上で、「ただ、ブロックチェーンを使ったサービスは現在、残念ながら仮想通貨取引所しかなくて、世の中が受け入れるサービスを作ることはチャレンジングです。僕たちは金融×テクノロジーの分野で、決済や送金、融資などのエリアでサービスを作ることができるんじゃないかと思っています」と話した。

事業の拡大、新たな市場への参入を加速させるマネーフォワードは、2017年11月期には28億9900万円まで拡大した。しかし、依然として赤字企業に変わりはなく、同期に計上した営業損失は7億9700万円。時価総額は現在、約600億円。辻氏が目指すマネーフォワードの企業価値と規模にはほど遠い。

辻氏は言う。

「今の日本を作ってきたのは、トヨタやソニー、そしてユニクロのファーストリテーリングやソフトバンク、楽天、リクルート。僕たちは日本を引っ張るような企業になりたいし、必ずなれると思っています。上場して、そういう会社に成長できる入場券みたいなものをもらったように思うんです」

「同じフィールドで、孫さん(孫正義氏)や柳井さん(柳井正氏)がすごいボールを投げて、すごい打球を打って、僕らは1年目で投げるボールも遅ければ、バットもまだ強く振れない。だけれど、このフィールドに立って、一刻も早くスーパープレイヤーにならなければいけない。そう思っています」

(文・佐藤茂、野中利紗)

(記事は、1月15日発表のマネーフォワードの決算内容を追加、更新しました。)

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