高級品の偽造品防ぐ「ワイン・ブロックチェーン」。コンサルが日本で実証実験

ワイン・ブロックチェーン

ブロックチェーンを活用しワインの流通を追跡する流れ。

EY作成

世界四大コンサルティングファームの一つ、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングは、ブロックチェーンを活用し、商品バリューチェーンを管理する「ワイン・ブロックチェーン」の実証実験を日本で始めた。生産から販売までにさまざまな業者が関わり、モノの動きが国をまたぐために、管理や追跡が難しいワインや宝石、高級ブランド品などを対象とし、生産や流通の情報を一覧できる仕組みを構築する。

EYパートナーの梶浦英亮氏によると、ワインは消費者に届くまでに多様な業者が介在しているため、偽造品が紛れ込んだり、劣悪な保管環境によって品質が劣化するといった問題が後を絶たない。調査機関によって数値は違うが、年間1~5億ドルの偽造ワインが流通しているという。

ポールと梶浦さん

「ブロックチェーンを非金融領域で活用し、公共サービスを変革したい」と語るポール・ブロディ氏(左)と梶浦英亮氏。

EYによると「ワイン・ブロックチェーン」はイタリアでは既に導入事例があるが、日本ではまだ提供されていない。ブドウ農家、醸造所、倉庫など流通に関わる業者がシステムに登録した収穫地、温度管理、輸配送といった情報を、消費者はワインにつけられたQRコードから入手できる。

梶浦氏は「ブロックチェーンは情報が暗号化され、後から書き換えることができない。ワインだけでなく、高級ブランドバッグや食品など、偽造品対策が必要な商品に活用できる」と述べた。EYは今後、モノのやり取りに介在する商社などと連携し、ブロックチェーンを使ったトレーサビリティを展開する方針。

公共サービスの効率化にも活用

EYは、IBMの執行役員(IoT担当)で、“ブロックチェーンの伝道師”とも言われるポール・ブロディ氏(Paul Brody)が2015年4月に入社したのを機に、非金融領域のブロックチェーン活用を強化している。

ブロディ氏はBusiness Insider Japanのインタビューに対し、こう語った。

「今は仮想通貨が注目されているが、ブロックチェーンの価値の本質は、情報を管理する権限が分散しているため、情報書き換えが事実上不可能で、知らない人同士がやり取りできるほど安全性が担保されているところだ。その特性によって金融領域では仮想通貨というイノベーションが起こったが、非金融領域ではさらに大規模な変革を起こせる。公共サービスなど社会全体のイノベーションを進めるため、私はテック企業からコンサルファームに移った」

ブロックチェーン

ブロックチェーンによって物の移動やサービスの提供と同時に支払いを完了することが可能になる。

EY作成

ブロディ氏は、日本を「ビットコインの取引においては間違いなく先進国だが、非金融領域での取り組みは進んでいない」と分析。土地の売買や、公共医療サービスにブロックチェーンを活用しているUAE(アラブ首長国連邦)を例に出し、「ブロックチェーンを活用すれば、モノの動きやサービスの提供と同時に仮想通貨による支払いを完了する『スマートコントラクト』が可能になり、情報の透明化や公共サービスの効率化が期待できる」と述べた。

(文、撮影・浦上早苗)

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