1月25日より機能が強化されるauの青少年向けフィルタリングサービス
KDDIは1月9日、「au 2018年 春モデル説明会」を開催。新型スマホやタブレットなど計7機種と新サービスを発表した。今回注目したいのは、同社の青少年向けフィルタリングサービス「あんしんフィルター for au」の機能拡張だ。端的に言って、「iPhoneを子ども向けスマホにする」ことに力点を置いた機能だからだ。
iPhoneでもアプリの利用時間制限を可能に
あんしんフィルター for auは、KDDIがすでに提供していたフィルタリングサービス(月額無料)。他社が提供しているフィルタリングサービスと同様に、有害なサイトやアプリの利用を制限するサービスだ。
KDDI 商品企画本部長 山田靖久氏。
今回の発表であんしんフィルター for auには、「iOSでの利用時間制限(アプリ/Web)」「端末の利用状況照会」「ユーザーの位置情報検索」「遠隔ロックの解除」が1月25日から使えるようになる(利用状況照会のみ、4月下旬提供予定)。
中でもiOSでの利用時間制限機能は、他社で先行するWeb利用の時間制限のほかに、現時点ではKDDIだけだという「アプリの利用制限」にも対応した。具体的には「あんしんフィルター for au」アプリが、指定時間になるとiOSのアプリ利用制限機能をオン・オフすることで実現している。
具体的には、利用時間制限機能は、曜日ごとに1時間単位でアプリやウェブ閲覧の利用が制限できる。制限は一括制限やアプリ単位での指定などiOSの機能を使って細かく設定できる。また、子ども向けスマホに必須とも言える「親端末からの位置情報の取得」にも対応している。
親向けの管理者画面をタブレットで開き(左)、アプリを入れた子ども用iPhone(右)。
親がすべてのアプリを制限したところ、子どものiPhoneから標準アプリ以外のアイコンが消えた。
子どもがどうしてもアプリを使いたい場合は、親にお願いすることもできる。
古いiPhoneも「子ども用iPhone」に変身する
ここで注目すべきなのはサービス対象OSのカバー範囲だ。あんしんフィルター for auは、同社の販売するiOS 8.0以上のiPhoneやiPadで利用できる(ちなみにAndroidに関しても、Android 2.2以上のスマホやタブレットで利用可能)。
数世代にわたってiPhoneを使っている人なら、捨てずに余っているiPhoneがある場合も少なくない。こういったものも、アプリを導入することで「子ども用iPhone」に変身させられるというわけだ。
もちろんKDDIのサービスなので、子どもが利用するiPhoneはau回線で利用しなければならない。けれどもユニークなのは親回線の選択で、実はどのキャリアの回線からでも利用できる(設定や位置情報管理はWebアプリで行うため)。だから極端な話、親回線は格安SIMでもいい、ということだ。
auといえば2017年は格安SIMへのユーザー流出抑制にさまざまな対策を打ってきた。今回の「親回線はあえて囲い込まない」という選択も、同社ならではの回線契約にはこだわらず「au経済圏を広げる」ことを主眼に置いたサービス構築と言えそうだ。
子どもにau回線とauが使える端末をもたせれば、親はどんな契約でもOK
中学生などさまざまなスマホユーザーが増えている
今回、KDDIは春モデルとして、日本仕様など安心機能を搭載した「Quaシリーズ」のスマホやタブレット、比較的高い性能と抑えめの端末価格を実現した「HUAWEI nova 2」(税抜き3万円台)、スマホ入門機「BASIO 3」、スマホライクに進化した子ども向けケータイ「mamorino 4」など、家族や子ども、高齢者といった振り幅の広いターゲット向け製品とサービスを発表した。
今回のau 2018年春モデルは、家族や子ども、高齢者向けの端末やサービスが多い。
同社の調べによると、2017年10月時点で中学生の「スマートフォン浸透率」(契約及び利用者の比率)は約72.6%、高校生では約95.3%にもなったという。キャリアや格安SIMを提供する仮想通信事業者(MVNO)には、ユーザーの利用や社会情勢に応じた細かいニーズへの対応が求められている。KDDIは「これからユーザーに対してヒアリングを続ける」としている。
au契約者のスマホを契約もしくは利用している割合(2017年10月末時点)。
KDDI
(文、撮影・小林優多郎)