IT最前線走るレノボ「iPadキラー」「アマゾンEcho Showキラー」で勢い見せる:CES2018

レノボは1月9日(現地時間)、米ラスベガスで開催中の「CES 2018」の初日にプレスカンファレンスを開催し、グーグルのVR環境「Daydream」対応のVRヘッドマウントデバイスや最新Windows PC、音声操作できるディスプレイなど、多数の新製品を発表した。

CES2018 Lenovo

レノボのプレスカンファレンスには立ち見を含め、世界各国から多数の報道関係者が参加した。

世界最大のPCメーカーとして知られるレノボだが、近年はその事業領域を拡大しており、モバイルやVRにも製品を展開している。そのレノボが、1年のトレンドを先取りする展示会として注目されるCESぶつけてきた製品がこれだ。

「iPad Proキラー」Arm版Windowsがレノボからも登場

レノボはCES 2018に合わせてPCの新製品も一挙発表した。その中でも注目のモデルが、2in1型のWindows PC「Miix 630」。2017年12月に話題になった、スマートフォン向け半導体メーカー大手クアルコムとマイクロソフトが発表した新プラットフォームを採用している。いわゆるArm版Windows(Windows on Snapdragonとも呼ばれる)搭載機が早速登場した形だ。

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特徴は、スマートフォンのようにいつでもすぐに起動できて、常に携帯電話回線(LTE)でつながっている常時接続を実現していることだ。

Lenovo Miix 630

「Lenovo Miix 630」は常にLTEにつながる常時接続を実現した。プロセッサーにクアルコム製「Snapdragon 835」を搭載。価格は799.99ドルから、2018年第2四半期以降にグローバルで発売予定。

スマートフォン向け半導体の巨人クアルコムのSnapdragonプロセッサーはインテルやAMDとはアーキテクチャが異なるため、そのままでは過去のWindowsのアプリ資産は活用できない。そのアーキテクチャの壁をArm版Windowsでは「バイナリートランスレーション」という特殊な仕組みで解決している。

なお、OSとしては標準で「Windows 10 S」を採用しており、公式ストアで配信されているアプリのみが動作する。ただし購入から180日間は従来のデスクトップアプリも動作するフル機能の「Windows 10 Pro」に無償でアップグレードできる。レノボブースの展示用実機もWindows 10 Proとなっていた。

WebブラウザーやExcel 2016の使用感は、インテルCPUを搭載した一般的なWindowsタブレットに比べてすぐに遅いと感じるところはなかった。ただし、あらゆる機能がインテルCPUのPCと同じように動作するかどうかは、製品版の登場時に改めて検証する必要がありそうだ。

Lenovo Miix 630

キーボードはスタンドを兼ねている。取り外してタブレットとしても利用できる「2in1」型だ。

日本ではLTEなど高速回線が世界有数の規模で普及している。近年は仮想移動体通信事業者(MVNO)による格安SIMの選択肢も豊富になってきた。LTE通信の標準搭載は、「働き方改革」によって時間や場所を選ばず働きたいという需要に応えるのはもちろん、常時接続によってPC体験そのものが変わる可能性を秘めている。日本での発売が楽しみな製品だ。

アマゾンのEcho Showに対抗! スマートディスプレイが爆誕

2017年末の日本では音声アシスタントを搭載した「スマートスピーカー」が大きな話題を呼んだ。これに対してレノボが新たに投入してきたのが「Smart Display」だ。

Lenovo Smart Display

「Lenovo Smart Display」。大きなスピーカーを備えたディスプレイ製品で、8インチ(価格は199.99ドルから)と10インチ(価格は249.99ドルから)の2モデルがある。

SmartDisplay

奥行きはこのように膨らんでいて、横置きでも縦置きでも使える形状。

スマートディスプレイとは聞き慣れないジャンルだが、見た目はタブレットのようだ。背面の形状は大きく膨らんでおり、横置きにしても縦置きにしても利用できる。

最大の特徴は、音声アシスタントの「Googleアシスタント」により、音声で操作できる点にある。ただ、Google Homeなどのスマートスピーカーでは音声のみのやりとりだったが、スマートディスプレイでは画面表示や画面タッチを組み合わせて利用できることが違いになる。

内部的にはAndroidが動作しているが、スマートディスプレイに特化したカスタム仕様になる。ストアからAndroidアプリを追加するなどの複雑な機能はないが、スマートフォンを使い慣れない人でも、簡単にビデオチャットやYouTubeを楽しめるよう設計されている。

ライバルは、アマゾンが米国で販売するディスプレイ搭載スマートスピーカー「Echo Show」だろう。スマートスピーカーの次は、スマートディスプレイが流行の兆しを見せており、レノボは真っ向勝負を挑むつもりのようだ。

世界初の「スタンドアロン型」Daydreamヘッドセットが実現

仮想現実(VR)コンテンツを楽しむためのヘッドセットは、すでに多数の製品がひしめいている。単に新しいモデルを出したからといって、注目を浴びることは難しい。

その中でもレノボの「Mirage Solo」が他の製品と異なる点は、単独で動作する「スタンドアロン型」である点だ。内部にクアルコム製の「Snapdragon 835」プロセッサーとモーショントラッキング技術を搭載しており、グーグルのVRプラットフォーム「Daydream」のコンテンツを単独で実行できるのが特徴だ。

Lenovo Mirage Solo with Daydream

「Lenovo Mirage Solo with Daydream」。これ1台でDaydreamを楽しめる「スタンドアロン型」は世界初とのこと。

これまで個人でVRを楽しむには、高性能なPCに接続する本格的なモデルか、スマホを装着して利用する簡易的なモデルの2つに大別されていた。これに対して、Mirage Soloはその中間に位置するモデルと言える。レノボによれば価格はあくまで未定とのことだが、米国では400ドル以下をターゲットとして想定しているという。

さらにレノボは、VRで楽しめる映像を自分で撮るためのカメラとして「Mirage Camera」も同時発表した。プロの手でつくり込まれたVRコンテンツを楽しむだけでなく、自分で撮影した写真や動画をVRで楽しみたいユーザーにはうってつけの組み合わせだ。

Lenovo Mirage Solo with Daydream

VR用の写真や動画を撮影できる「Lenovo Mirage Camera with Daydream」(写真手前)

Moto Modsに待望の「QWERTYキーボード」が登場

レノボ傘下のモトローラのスマートフォン向けの周辺機器として、「Livermorium Slider Keyboard Moto Mod」が登場した。レノボブースでは2000年前後の見られたようなキーボード付きPDAを彷彿とさせる外観が人気を集めていた。

Livermorium Slider Keyboard Moto Mod

「Livermorium Slider Keyboard Moto Mod」。モトローラのスマホ向けのキーボード型拡張モジュールだ。価格は99ドル。

「Moto Mods」は、モトローラのスマートフォン「Moto Z」シリーズ向けの拡張モジュールで、対応するスマホの背面に合体させることで外付けのバッテリーやスピーカーとして機能を拡張できる。そして今回、クラウドファンディングによって、PCと同じQWERTY配列のスマホ用キーボードが実現した。

スライダーという名前の通り、持ち歩くときにはキーボード部分をスライドさせてスマホ本体に重ねることが可能。画面の角度調整にも対応しており、卓上で使うときは角度を付け、両手で持って使うときはフラットな形状にすると打ちやすい。

Livermorium Slider Keyboard Moto Mod

スマホ画面の角度を変えることが可能。手に持って使用する際はフラットにできる。

スマートフォンの操作方法といえば、タッチ操作に加えて音声操作も普及しつつある。だが、今でも物理キーボードに愛着がある人なら、いっそのことスマホをMoto Mods対応機に買い換えてでも使いたくなる魅力がありそうだ。

(文、写真・山口健太)


山口健太:10年間のプログラマー経験を経て、2012年より現職。欧州方面の取材によく出かけている。著書に「スマホでアップルに負けてるマイクロソフトの業績が絶好調な件」(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)。

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