Mike Hewitt/Getty Images
- 2018年、ビットコインのマイニングにかかる電力が、アルゼンチンの年間の電力消費量を上回る可能性がある。1月10日(現地時間)、モルガン・スタンレーがクライアント向けの文書に記した。2025年に電気自動車が必要とする電力量を上回るとも言われる。
- 仮想通貨のマイニングによる電力消費量は2018年、世界全体の電力消費量の0.6%に上る見通し。いずれはエネルギー関連企業の株価にも影響を与えそうだ。
2018年、ビットコイン・マイニングの電力消費量は、アルゼンチンの年間の電力消費量を上回りそうだ。モルガン・スタンレーがクライアント向けの文書に記した。
「2018年のビットコイン・マイニングの電力消費量は、2025年にEVが必要とする電力量を上回ると予測している。だが、まだ電力需要に影響を与えるレベルではない」と同社のアナリストは記した。
「ビットコインや他の仮想通貨が、EVよりも重要なものになるだろうか? その可能性はある。だが、まだ時間がかかるだろう」
2017年、159カ国の電力消費量を上回った見られるビットコイン・マイニングの電力消費量は、2018年には世界の電力消費量の0.6%を占めるとモルガン・スタンレーは予測している。そして、現状はまだ電力会社の株価に影響を及ぼすレベル“ではない”としている。
左:国別の電力消費量、右:電力消費量に占めるEVの電力消費量
Morgan Stanley Research
「ビットコイン・マイニングには、大きなコンピューターパワーが必要となる。つまりは大量の電力が必要になる。現在、それは世界の電力消費量の0.2%となっている。blockchain.infoによると、ビットコインは仮想通貨市場のおよそ62%を占める。よって仮想通貨のマイニングに使用される電力の総量は、0.2%以上となっているだろう」
すでにビットコイン・マイニングは、中国や韓国など電気代と人件費が安い地域に集中している。だが今週、韓国で起こったように当局の規制の影響を受ける可能性があるとモルガン・スタンレーは指摘した。
中国も仮想通貨の取り引きとマイニングへの規制を強めており、マイナーは中国から脱出しつつあると伝えられた。これにより、10分以上かかることも多くなったビットコインの取引時間がさらに遅延する可能性がある。
だがモルガン・スタンレーによると、マイニングに有利な地域は多い。例えば、アメリカ中西部や南西部などだ。また、再生可能エネルギーの普及を加速させる可能性もある。
「ビットコインの需要は再生可能エネルギー事業者にとって、新しいビジネスチャンスとなるだろう。最終的な問題は、グローバル規模のエネルギー企業にとって良い影響となるか否かだ」
「はるかに大きな資金力を有する大手石油企業も再生可能エネルギーに進出している。またICOによって新規参入者が必要な資金を調達することも可能だ」
ビットコインは2017年、1400%という爆発的な値上がりを見せた。だが、2018年がスタートしてからは、わずか5%の伸びに留まっている。
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[原文:MORGAN STANLEY: Bitcoin could use more energy than Argentina this year]
(翻訳:まいるす・ゑびす/編集:増田隆幸)