業績回復を急ぐアンダーアーマー、だが致命的なミスを犯している?

売り場

高級志向のスポーツ用品店「ディックズ・スポーティング・グッズ(Dick's Sportying Goods)」の中にある、アンダーアーマーの売り場。

Scott Dalton / Invision

  • 売り上げの低迷に歯止めをかけるべく、アンダーアーマー(Under Armour)は百貨店のコールズ(Kohl's)や靴小売チェーンのDSW、フェイマス・フットウェア(Famous Footwear)といった「(価格と価値の両方を追求する)モデレートな小売り」チェーンに進出した。
  • これにより、アンダーアーマーは売り上げを拡大し、アメリカで倒産したスポーツ・オーソリティ(Sports Authority)のような小売店に取って代わるはずだった。
  • だが、必要なセグメンテーションを欠いたことで、アンダーアーマーはそのブランド力を失墜させ、他の小売業者らの警戒を招いた。

アンダーアーマーは、墓穴を掘ったのかもしれない。

2017年に苦戦を強いられ、立て直しを急ぐ同社は、その進むべき方向性を間違えた可能性がある。

サスケハナ・フィナンシャル(Susquehanna Financial)のアナリスト、サム・ポーザー(Sam Poser)氏は、投資家向けのメモの中で、アンダーアーマーの投資判断を「中立」から「売り」に引き下げた

その主な理由の1つとして、ポーザー氏はアンダーアーマーが「モデレートな小売り」であるコールズやDSW、フェイマス・フットウェアといった比較的手頃な価格帯のチェーン店で販売し始めたことを挙げる。

この販路拡大がブランド力を低下させていると、ポーザー氏は指摘する。

「(アンダーアーマーが)憧れのスポーツブランドとしての地位を取り戻すためには、全ての製品をコールズ、DSW、フェイマス・フットウェアから引き上げなければならないと、我々は主張する」

差別化がされていないと、顧客は混乱する。全く同じもしくは似たようなアイテムが、1年を通じて頻繁にセールを実施する店で手に入るなら、消費者はわざわざ高級志向のスポーツ用品店へ買いには行かないだろう。

アンダーアーマーは全ての商品をコールズで販売しているわけではない。最も価格の高いアイテムは直営店もしくはアウトレットで提供している。その代わり、少し古いモデルのシューズや、新作や限定色であってもベーシックなタイプのスポーツウェアをコールズで販売しているのだと、シティ・リサーチ(Citi Research)のアナリスト、ケイト・マクシェーン(Kate McShane)氏は2017年、投資家向けのメモに書いている

モデレートな小売りチェーンでは、値引きと宣伝が盛んだ。UBSの2017年の株式市場に関する調査メモによると、「コールズでの取り扱いが始まったことで、(アンダーアーマーの)ブランド全体の価格が引き下がる兆候」が見えてきたという —— 意図した結果ではないかもしれないが、高級志向のスポーツ用品店のアンダーアーマー離れが進む可能性もある。

ポーザー氏によると、こうしたスポーツ用品に特化した小売店は、アンダーアーマーの在庫を減らす計画を立てている。同ブランドの値下がりを警戒してのことだ。店舗の陳列スペースには、代わりに競合他社のプライベートブランド商品が並ぶ。

アンダーアーマーのブランド力の低下は、同社がスポーツウェア業界で起きた、よりスタイリッシュな「アスレジャー」ブームに乗り遅れ、経営の立て直しを急ぐ中で起きている。そして今、アンダーアーマーはパフォーマンス・ブランドからライフスタイル・ブランドへの転換を図っている。だが、そのスピードは遅く、ブランドに対する消費者の意見の少なさがまた、このプロセスを困難なものにしている。

ポーザー氏は言う。「コールズ、DSW、フェイマス・フットウェアでの取り扱いが始まったことで、アンダーアーマーに対する認識が変わった。そして、それは良い方にではない」

[原文:Under Armour might be making a fatal mistake in its bid to save itself (UAA)]

(翻訳/編集:山口佳美)

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