銀座エリアのテナント料は下がり始めている。“勝ち組”は ギンザシックス周辺だけ

銀座

国内外の高級店が集積する銀座。

撮影・今村拓馬

日本で最も地価が高い商業エリア銀座のテナント賃料に異変が起きている。法人向け不動産サービスのCBREによると、高級ブランドの出店一服などで、賃料水準は2016年第2四半期にピークアウト。賃料水準は現時点で2014年の水準まで下がった。また、2017年4月のギンザシックスの開業によって、銀座の商業エリアの重心が動き、二極化を引き起こしているという。

日本のみならず世界の一等地として、国内外の高級ブランドや飲食店を呼び込み続けてきた銀座。銀座4丁目の交差点付近の超一等地のテナント賃料は、3.3平方メートル40万円で高止まりしている。

しかし、CBREの大久保寛エグゼクティブディレクターは、「銀座の主要エリアをみると、テナント賃料は2016年第2四半期をピークに低下が続いています。2018年はさらに7%程度下がるでしょう」と語る。

銀座賃料

CBRE作成

アベノミクスによる景気回復や、“爆買い”に代表されるインバウンド需要を背景にしたグローバル高級ブランドの出店が一服したことが主な要因。訪日客の増加で、ドラッグストアやスポーツメーカーの出店は活発だが、高級ブランドの出店ラッシュ時に比べると相場が下がっているという。

銀座4丁目交差点も賃料下落の可能性

相場の重心も変化している。2017年4月、銀座6丁目に開業した商業施設ギンザシックスが人の流れの新たな基点となり、周辺に出店ニーズが集中する一方、同じ銀座でもギンザシックスから離れた場所は賃料水準が低下している。

ギンザシックス

2017年4月にギンザシックスが開業し、銀座の人の流れが変わった。

撮影・今村拓馬

eコマースの拡大や訪日外国人の増加で、銀座ではブランドの認知を目的としたアンテナショップやショールームの出店も増加。9月にはパナソニックが銀座5丁目に美容家電の商品を体験したりエステを受けたりできるサロンをオープンした。大久保氏は、「こうしたショールームは販売より宣伝が目的で、人の流れが活発な好立地を求める傾向がより強い。2018年はギンザシックス周辺とそれ以外という二極化が続き、銀座4丁目の交差点に近い超一等地も下落する可能性がある」と指摘する。

2018年は全体として賃料の弱含みが続くとみられる銀座だが、CBREは2019年に入ると東京オリンピックを前に高級ラグジュアリーブランドの出店ニーズが回復し、再び上昇軌道に入るとみている。

(文・浦上早苗、写真・今村拓馬)

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