人件費の増大で、ファストフード・チェーンが自動化に舵を切り始めた

レッド・ロビン・グルメ・バーガーズのハンバーガー

レッド・ロビン・グルメ・バーガーズは、人員削減によって数百万ドルのコスト削減を計画している。

Red Robin Gourmet Burgers/Facebook

  • 最低賃金が引き上げられる中、アメリカのハンバーガー・チェーン「ジャック・イン・ザ・ボックス(Jack in the Box)」は、コスト削減のため、レジ係の一部をロボットに置き換えることを検討している。
  • 同じく「レッド・ロビン・グルメ・バーガーズ(Red Robin Gourmet Burgers)」も人員を削減する計画で、フロア係を廃止することで、2018年に800万ドル(約8億9000万円)を削減するという。
  • 「人件費が増大する中、(新しい自動化技術の導入を検討することは)実に理にかなっている」と、ジャック・イン・ザ・ボックスのCEOは語っている。

最低賃金の引き上げが、ファストフード業界に激震を走らせている。

アメリカのハンバーガーチェーン「ジャック・イン・ザ・ボックス」のCEO、レナード・カンマ(Leonard Comma)氏は、1月9日(現地時間)に開催されたICRカンファレンスで、カリフォルニア州の最低賃金の引き上げに伴い、レジ係の一部をロボットに置き換えることを検討していると語った。「人件費が増大する中、(新しい自動化技術の導入を検討することは)実に理にかなっている」

同社はこれまでに、セルフサービスのキオスク端末といった技術の導入を試しており、平均客単価や作業効率が上がることは分かっている。ただ、キオスク端末の導入は大きすぎる投資だったと同氏は言う —— 少なくとも、最低賃金が上がる今までは。

ジャック・イン・ザ・ボックスのハンバーガー

Facebook/Jack in the Box

そして、最低賃金が引き上げられる中、人員削減を検討していることを明らかにしたファストフード・チェーンは、「ジャック・イン・ザ・ボックス」だけではなかった。

ハンバーガー・チェーンの「レッド・ロビン・グルメ・バーガーズ」も1月8日(現地時間)、店舗のフロア係を廃止することで、2018年に800万ドルのコスト削減が見込まれると発表した。ニューヨーク・ポスト紙の報道によると、アメリカ西海岸を中心に展開する同チェーンは、料理の盛り付け係を減らしたことで、すでに1000万ドル近くの人件費削減に成功したという。

「おそらく、わたしたちの業界が直面している最も難しい課題は、人件費だろう」レッド・ロビンのCFO、ガイ・コンスタント(Guy Constant)氏は述べている。

アメリカでは2018年、「ジャック・イン・ザ・ボックス」が拠点を置くカリフォルニア州や、「レッド・ロビン・グルメ・バーガーズ」が拠点を置くワシントン州を含む18の州で、最低賃金が引き上げられている。

台頭するロボット

マクドナルドのセルフサービス・キオスク

マクドナルドのセルフサービス・キオスク。

Thomson Reuters

アメリカのウェンディーズ(Wendy's)は2017年、1年以内にセルフサービスのキオスク端末を導入する計画を発表した。これまで、レジ係をキオスク端末と置き換えることはしないと述べてきたマクドナルドも、2500店舗でキオスク端末を導入する。従業員の賃上げを1月11日(現地時間)に発表したウォルマートも、セルフレジ清掃ロボットといった形でオートメーション(自動化)の導入を試みている。

一方、「イーツァ(Eatsa)」や「カリバーガー(CaliBurger)」といった比較的規模の小さなファストフード・チェーンは、注文から支払いまで、全てのプロセスを完全に自動化しようと試みている。

「政府(の法定最低賃金の引き上げ)が人件費を増大させ、雇用は減少している」カールスジュニア(Carl's Jr)とハーディーズ(Hardee's)の当時のCEO、アンディ・パズダー(Andy Puzder)氏は2016年、Business Insiderに語っている。「空港や食料品店だけでなく、レストランでもオートメーションを目にすることになるだろう」

自動化の流れは、コスト削減のためだけではないと語る企業のトップもいる。

「これまでの歴史を考えれば、オートメーションは自然な流れだ。手元のスマートフォンも、オートメーションの1つの形態だ」そうBusiness Insiderに語ったのは、ダンキン・ドーナツなどを運営するダンキン・ブランズ・グループ(Dankin' Brands Group)のCEO、ナイジェル・トラビス(Nigel Travis)氏だ。

同氏は、ダンキン・ドーナツの全ての顧客が携帯電話を使って注文と支払いをすれば、同チェーンは店舗の従業員を30%減らすことができると言う。しかしその一方で、2018年最大の課題は、適性ある従業員を十分な数確保することで、うまくいかなければ人手不足に陥る可能性もあると、同氏は語っている。

「(オートメーションが、人間の労働者に)取って代わる必要はない」トラビス氏は言う。「(オートメーションは)経営を自然な形で支えてくれる存在になるのかもしれない」

自動化は、レストラン業界の雇用、中でも未経験者でも就業可能なレベルの求人を、急激に減少させる可能性がある。そしてアメリカでは現在、労働人口の約10%がレストラン業界に従事している。

マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(McKinsey Global Institute)の研究によると、オートメーションによって全世界で8億人の雇用が失われる恐れがある。

[原文:America's fast-food chains are contemplating replacing minimum wage workers with robots — and it could lead to a crisis

(翻訳:Yuta Machida/編集:山口佳美)

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